【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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「・・・承知した。その10人も武市殿とともに選出するでござるよ」

「頼んだぜ、万斎」

“頼んだぜ”

その短い言葉で、簡単に喜ぶ自分がいる。

その言葉を、もらえる人間が本当に少ないことを知っているからだ。

いや、あえて彼がそうしているのかもしれないが。

この男は、こうやって、人の心を簡単に掴んでしまう。そして、捕まれたら最後、惹かれて、やまない。

一応の話が終わり、帰ろうとした時、思い出したことがあった。

「・・・そういえば、白夜叉に風呂場で会い申した」

「は?」

「奥方と一緒に」

「・・・・」

「おおかた、新婚旅行でござろうか」

「へえ・・・」

「用心のため、脱衣所で確認したところ、部屋番号は202でござる。こちらの部屋のことはひとつも言っていないでござるよ」

「・・・」



「先程、・・・途中で中断してしまったのは拙者が悪いかもしれぬが、ゆめゆめ面倒はごめんでござる。今日は、めでたい誕生日故」

「ああ?なんの心配をしてるんだ。奴らのことなんか関係ねえ。女の代わりもいらねえよ」

では、と、部屋を出ようとした時、珍しく呼び止められた。