>>386 「突っ立ってないで、入れや」
どうも、女を追い出すのに今までかかったようだ。
「別に、追い出さずとも良かったのに。拙者は後でも」
「ずっと部屋の前にいながら、よく言うぜ」
「泣いていたでござるよ」
「ああ?鳴き声はうるさかったが。十分満足したんじゃねえかな」
「晋助は、途中だったのでは」
「俺はいい。いつものこったろうが」
別段、気にもとめずそういって、「で、なんだ」と用件を促す。
やれやれ。
万斎は、先程騎兵隊から連絡があった件を手短に放した。全てを聞いた後、すかさず、
「どう思う?」との意見を求められ、自分の意見を言う。この男は、いつもそうだ。自分の意見を求めてくる。
終始、目を細め、歪ませた笑みを浮かべながら、「てめえは相変わらず聡いな」と、言う。
ああ、たまらない。
この男の、こういうところ。
そして、決まってその後で、自分の考えの上を言う。
「まあ、加え言いえば、家持を使って竈を壊させたら完璧だな。家持ちには息子が居た。ありゃ相当などら息子だ。2??3人当てりゃ堕ちんだろ」
「・・・なるほど。適任者を手配いたそう」
「最後に、爆破するなら待機は10人前後ってところだな」
「・・・ちと多くはござらんか」
犠牲者と言うには。一応は戦力だ。
「少なすぎんと、不審に思うだろうが。十人くれえが丁度良い」
平然と、10人の命のやり取りを口にする。この時点で、その10人の命は売られた。