>>35続き
(そして、自分は布団で寝たかったので) 女性であるにもかかわらず、桂を追い出した。(というか、男だ、あいつは。)
そんな生活が続いていくうちに、事件が起きた。
スナックお登勢に、なんと将軍が来たのである。
例の、おっさんが“しょうちゃん、場末のスナックも知っておいた方が良いよ”と連れ出したのである。
というのも口実で、実は最近有名になったお登勢の新人がものすごい美人とのウワサを聞きつけて、どうしてもおっさんが見に来たかったのである。
実際、桂を目にして「すげ??????きれいだなあ????ね??ちゃん、こっちこいやあ」と声をかけたが、
桂はものすごく嫌そうに「ねーちゃんではない、か・・・月子だ」と、源氏名を告げて素っ気ない。
月子というのは、とっさに桂がお登勢に言った名だが、それをそのまま源氏名として採用している。
驚くことに、一番月子に釘付けになっているのは、かくゆう将軍であった。無口で無表情のいつもの調子とは違って、今日はほおを赤らめ、熱い目をしている。
お登勢は、こりゃまずいねえ。と内心思った。
にらみ返す月子の目もまた熱い。だが、その熱さは将軍とは違う。憎しみ、怒り、悲哀、色々なものが混ざったような目だ。