そっと、私室に戻る晋助を呼び止める。
「晋助」
「なんだ?俺はもう寝る」
「・・・実は、一人奇麗な娘さんがいるでござるが」
「だからなんだ」
「今日はもう月子殿からさすがに電話は掛からないでござるよ」
晋助は、ちょっと考えるそぶりを見せた。
「・・・・いらねえ」
「しかし、先回も、今回もでは、さすがに・・・」
「いらねえっつってんだろ。・・・一人で出した方が気楽でいい」
そう言って、さっさと部屋に帰ろうとする。
「なるほど。では、拙者が頂いていくでござる。」というと、
ぴくっと、立ち止まって、晋助が反応を返す。
「・・・・てめえ」
「何でござろう」
「・・・・俺が部屋に立ったら、出てこいよ」
「!!」
「・・・・心配すんな。ちゃんと、用事のある時だけ立つからよォ」
ククク、と怪しく笑う。
ああ、これは一本取られたでござるな。
晋助の“用事”なんて、拙者らにとっては何でも“用事”であろう。
“腹減った“だの、“眠れねえ“でも。
「・・・・拙者とて、邪魔したくてしたわけではござらぬが」
「分かってる。だから、心配すんなっていったろうが。」
と言って、くるりと背を向けて去っていった。嫌な予感がする。