【万斉】
晋助は、必ずこの気配に反応する。
まるで、獣のように。
拙者が扉の前に立つと必ず出てくる。
それは、一人の時も、そうじゃない時も全く同じだ。
例え、女と繋がっていようと、中断してでも出てくるのが常。
そして、出てきても、乱れもなく、割と平然としている。
だが、今日は珍しく、息が上がっていた。
ああ、丁度良いところだったでござろうか・・・。
拙者の所為ではないとしても、同じ男として若干同情した。
まあ、晋助にとってはそんなに重要ではないはずだろうが。
桂の電話を取り次がなかった方が、何を言われるか分からない。
電話を横でなんとなしに聞いていると、だいぶ晋助がつまらなそうになってきた。
おおかた、エリザベスとやらの話にでも脱線したのか。
そのうち、
キイ・・・
女が、部屋から出てきた。なかなか戻らぬ晋助を心配したのでござろう。
「晋助さん、まだ・・・?」
半裸の女性。
妙に艶っぽい女でござるな。
これは美女だ。しかも、グラマー。
晋助が、顎で部屋にもどれと、女に部屋を示す。
「一体誰なの?相手は・・・」
晋助が拙者に視線を送る。
“適当に答えとけ”と言うことでござろう。その為に拙者はいるようなもの。
「まあ、大切な方でござる」
「・・・女ですか?」
「まあ、一応」
「・・・!!」女が、かっとなった。あれ?なぜ。