ふと、男の顔がやや赤らんできていることに気が付いた。まさかとは思うが。
「あんた、おたふくしたことがあるのかい?」
「さあ、記憶にねえなあ」
「だったら、気をつけな。成人男性がかかったら、種なしになるって言うよ」
せめてもの、意趣返し。少し脅してやろう。少しはこの傲慢な男の焦った顔が見たかった。ところが、それを聞いて、男はさも楽しそうに笑った。
「そりゃ、朗報だなァ」
「なんだって?」
「気兼ねなしに腰が振れる」
ククク・・・と笑って、伝票を持って去っていく。
なんだい、あの男は。だけど、減らず口なところは、銀時に似ているねえ。
***
スナックお登勢に、一千両(約六千万円)が届いたのは、その日の夕方。
「・・・・・・・・」
お登勢も、月子も言葉が出ない。
こ、こんな大金・・・
目を光らせて、見つめているのは、キャサリンだ。
「私がアズカリマ??ス」
「だ・・・だめだめだめだめ!!!」
***