【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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「銀時の名前まで語って。いつまでそうやってこそこそしているつもりだい。一生名乗らないつもりなのかい」

「あんたには、関係ないだろ」剣呑な空気を醸し出す。

「月子のことで、ちょっと話したいんだけどねえ。時間をくれないかい」

「はあ?」

「いいだろ、たまにはババアの話も聞いておくのも。あんたにとっても悪くはないと思うがねえ」

そうしたら、フン、と軽く笑った。だが、以外にも、

「少しだけならつき合ってやらあ・・・世話になっているようだしな」

と、病室の子供をちらりと見た。あら分かってんじゃないの。

きっとこれから言われることもこの男は分かってる。



二人は、病院の喫茶室に入った。



「あんた、仕事は何をしてんだい。どうも堅気じゃないようだねえ。・・・あんたのことを月子がよく高杉と呼んでいたが、確か、有名な攘夷志士にもそんな名前の奴が居たっけね」

「バアさんよ、もうちっと長生きしたいなら、余計なこと言わねえほうがいいぜ」

瞬間、察知した。この男、間違いなく、高杉晋助。本人だ。で、あれば、やはり危険だ。そして、この話は、これ以上はしない方が良いだろう。

しかし、お登勢もだてに歌舞伎町四天王ではない。キッと、高杉を見据えて切り出した。

「あんた、一体、月子のことどうおもってんだい」

「・・・人様に言う事じゃねえなぁ」

今度は、のんきに茶を飲みながら、はぐらかす。べえと舌を出して、「まずい茶だ」と言う。



「あんた、あの子に惚れてるんだろ。恋仲だった女に、そんなことも伝えずに子供だけ残しちゃあ、気持ちの整理が突かないんだよ」

「恋仲ねえ・・・確かにガキが出来たのは和姦だが、そんな甘い関係じゃねえよ、俺たちは。あいつは、目が覚めたら俺をぶっ殺しに来るという。それを俺は楽しみにしてる」

「はあ?一体どういう了見だい」話が見えない。

ククク・・・ただ嗤う。