【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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大江戸中央病院、小児病棟。



面会に来たことを看護婦に伝えると、名前をかけという。

病院と言うところは、妙にこの包帯も違和感がないようで、不審がられずにすんだ。

一瞬悩んだが、“坂田 銀時”とサインした。続柄欄には“父“と書く。

「ああ、松之助くんのお父さんですね」といって、病室を教えてくれた。



病室に行くと、“坂田 松之助”と、名札がかかっている。・・・坂田・・当然だ。



入院してから何日か経っているせいで疲れからか、そのベッドには、イスに座ったままねている桂がいた。

空いているイスに腰掛けて、じっと子供の顔を見る。子供も、よく眠っている。顔が紅く、腫れていて、なるほど、“おたふく”とはよく言ったものだと思う。

小さな顔が、痛々しい。

「ひでえ顔してやがる」

ベッドの脇に、先程なにやら適当な店で買った適当な土産をそっと置く。

桂が気づく気配がない。

「・・・相当疲れてんな」



そっと、その顔にかかった髪をすくい上げ、顔を見る。

久しぶりだ。・・・化粧っけが無いのに、白く、美しい。

いつものように、紅い簪で結い上げている。

引き抜いてしまいたいが、起こしたくはない。

仕方なく、そっと髪をなでた。



それにしても、・・・先程から視線を感じる。

やっかいなことになる前に、出て行こうと思った。そうしたら、

病室の入り口で、妙なババアに呼び止められた。