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大江戸中央病院、小児病棟。
面会に来たことを看護婦に伝えると、名前をかけという。
病院と言うところは、妙にこの包帯も違和感がないようで、不審がられずにすんだ。
一瞬悩んだが、“坂田 銀時”とサインした。続柄欄には“父“と書く。
「ああ、松之助くんのお父さんですね」といって、病室を教えてくれた。
病室に行くと、“坂田 松之助”と、名札がかかっている。・・・坂田・・当然だ。
入院してから何日か経っているせいで疲れからか、そのベッドには、イスに座ったままねている桂がいた。
空いているイスに腰掛けて、じっと子供の顔を見る。子供も、よく眠っている。顔が紅く、腫れていて、なるほど、“おたふく”とはよく言ったものだと思う。
小さな顔が、痛々しい。
「ひでえ顔してやがる」
ベッドの脇に、先程なにやら適当な店で買った適当な土産をそっと置く。
桂が気づく気配がない。
「・・・相当疲れてんな」
そっと、その顔にかかった髪をすくい上げ、顔を見る。
久しぶりだ。・・・化粧っけが無いのに、白く、美しい。
いつものように、紅い簪で結い上げている。
引き抜いてしまいたいが、起こしたくはない。
仕方なく、そっと髪をなでた。
それにしても、・・・先程から視線を感じる。
やっかいなことになる前に、出て行こうと思った。そうしたら、
病室の入り口で、妙なババアに呼び止められた。