余談5*ギャグ 月の姫
(松之助が生まれて間もない頃)
1.
スナックお登勢。
坂本とちょっと一杯飲んでいるときだった。
酒の勢いとは恐ろしい。
俺は、何でか奴なんかに犬も喰わない話を相談してしまったのか。
悪夢はここから始まる。
「奥さんにこの間言われた一言がショックで・・・「しつこい」ってさあ・・・言うのよ」
坂本が、なんだかんだと慰めてくれるのがまたキツイ。
「元気出しい。あっさりしてるって言われるより、いいぜよ」
「そこじゃねえんだよ??。なんつーかさあ・・・絶対誰かと比べての発言だと思うのね。それが、へこむって言うかさあ・・・気になるって言うかさあ・・・」
お登勢とキャサリンが何げに聞き耳(猫耳)をたてているのが分かるが止まらない。
「フツー言うかなあ。ああいうこと・・」
「まあ、月子さんには月子さんの考えがあるぜよ。深く考えちゃいけんきに」
アハハと、坂本が明るく笑う。酔ってもTPOはしっかりしている。
ヅラのことは暗黙の了解で外では“月子”と呼んでいた。