>>286 お前・・・俺だって、お前が嫌いではないに決まっている。
だからこそ、戦争が終わった後だって、遊びに来ていたし、なにかと協力したり、してもらったり。
・・・できたら、また共に攘夷活動をしたいと考えているのだ。かなわぬ事と知っていても。
「今更だな・・・」
「ん?」
「俺だって、好きだぞ。知らなかったのか?」
「マジ・・・!!!!」
あり?今、ものすごく紅くなってるぞ。お前。俺変なこと言ったか。
「ただいまある????!!」リーダーが帰ってきた。
「あれ、銀さん、顔赤いですよ。熱でもあるんじゃないですか?」
新八君も。ああ、食事の支度しなければ。
なんだか慌てる銀時を横目に、
こんな時間が、もう少し長く続くといいな、・・・などと不覚にも思ってしまった。
余談: 父親
幾月か過ぎて、江戸にとある目的でぶらりと立ち寄ったら。
本当に偶然、桂に会った。
買い物かえりか。何だか買い物袋をぶら下げて、
胸に、生まれた子供を抱いていた。
そう言えば、銀時が“弟になった”だのと抜かしていやがったな。
笑わせる。
ままごとのような芝居夫婦も伊達じゃなかったのか。
名を聞けば「松之助」だとか。
偉く上等な名をやったもんだ。
あの人の名を付けるなんて、
何だか無性に苛立った。
一瞬、切り捨ててやろうかとも思ったが、
そんなことに意味はねえ。
だが、俺の一瞬はなった殺気に、
ちゃんと桂は反応していた。
まだ、一応錆び付いちゃいないようだな。
それが、何だか妙に楽しい。
あいつが、「縁のものに名をもらった」と言ったので
ああ、こいつは俺の子だったのか、ということを知った。
驚かなかったと言えば嘘になるが、疑惑が確信に変わっただけの話だ。
そっと、まだ毛の生えそろってないような頭をなでれば、
ガキがぽっかりと目を開けて俺をみやがる。
きりっと髪を結い上げて、あの紅い簪を付けて、なんだか得意げな桂の様子に、
面白くなくて
そっと抱き寄せれば、抵抗しない。ふんわりと、懐かしい匂いがした。
だから、
相変わらずの白い項に吸い付いてやった。
案の定、簡単に跡が付く。
・・・
ざまあみろ。
悔しがるであろう、銀髪頭の男を思い浮かべた。
あいつの独占欲は半端じゃねえ。
そっと桂の耳元で、
言おうか言うまいか迷っていた言葉を告げた。
そのあとは、とてもじゃないがお前の顔が見れない。