【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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名残惜しいが、体を離した後、

奴にざっと着物を着せると、煙管片手に窓へ向かった。

どうにも、さめない熱を風に晒して落ち着かせたい。

頭を冷やしたい。明るい月夜に、あいつの肌がやけに白く光る。奇麗だ、と思った。



今宵は満月。



満月は人を狂わせると言うが、じゃあ狂ってしまうのは人だという証か。

寝ているのか、起きているのか、桂は身動きひとつしない。そのうち、

「ずるいやつだ、貴様は・・・」

小さく呟いた。その言葉は、やけに響いた。部屋にも、心にも。

そんなことは、言われなくても知っている。



だが、今、この行為に理由を付けられないのと同じように、

この感情に、名前を付けることは出来ない。