着物の袷をそっと開く。そこには、紅い跡がいくつもあって、滅多にしない自分の愚行にあらためて驚く。
と同時に、妙な熱がこみ上げてきて止まらない。
「そうか・・・正直にはな」
最後まで言わせない。口づける。
驚いたのか、なんなのか、桂は見開いたまま目を閉じない。その不慣れな様子がまたおかしくて、笑みがこぼれる。
この日は、今までのどの女にもしたことがない程に、そっと、丁寧に桂に触れた。
ばかばかしい話だが、昨日の乱暴な行為が自分の全てだと思われたくなかった、
何とも複雑なプライドだったのかもしれない。(同じ男としての沽券に関わるからだ)
桂は終始とまどったような表情を見せたが、存外、感じているのではないだろうか。(そう思いたいだけか)
昨日もそうだが、目を潤ませて、やるせない表情をする割に声の一つも上げないのは、奴のプライドのなせる技か、他の目を気遣ってのことか。
はたまた・・・。