【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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着物の袷をそっと開く。そこには、紅い跡がいくつもあって、滅多にしない自分の愚行にあらためて驚く。

と同時に、妙な熱がこみ上げてきて止まらない。

「そうか・・・正直にはな」

最後まで言わせない。口づける。

驚いたのか、なんなのか、桂は見開いたまま目を閉じない。その不慣れな様子がまたおかしくて、笑みがこぼれる。



この日は、今までのどの女にもしたことがない程に、そっと、丁寧に桂に触れた。

ばかばかしい話だが、昨日の乱暴な行為が自分の全てだと思われたくなかった、

何とも複雑なプライドだったのかもしれない。(同じ男としての沽券に関わるからだ)

桂は終始とまどったような表情を見せたが、存外、感じているのではないだろうか。(そう思いたいだけか)



昨日もそうだが、目を潤ませて、やるせない表情をする割に声の一つも上げないのは、奴のプライドのなせる技か、他の目を気遣ってのことか。

はたまた・・・。