>>182 あたらずとも遠からず。こいつは俺のことをそれなりに理解しているのだろう。
「・・・フン」
「紅桜に飲まれたあの男のことも、お前の計算のうちなのだろう。・・・哀れなものだ」
「あれは、奴が望んだことだ」
「そういうもっともらしい理屈付けをするところも嫌いなんだ」
「嫌いなとこばっかりだな」自嘲気味になる。
「昨日は、・・・俺のことも、あやつと同じなのだろうと思った」
「・・・・」なるほどな。だからか・・・。桂の行動に妙に得心がいく。
こいつは、こういう奴だ、昔から。自分の身のことなど何とも思ってはいない。以蔵に斬られたときですら、自分の斬られたことに怒ったのではない。
俺がしようとしていることに怒り、阻止しようとしてきた。大切なものを守るためならば、自分がどうなろうと関係ないのだ。国でも人でも。
目的のために手段を選ばない、という意味では、こいつは俺と似ている。ただ、犠牲にするのが他人であるか、自分自身であるかだけの差だ。
だが、その差は大きい。だから、いつも相容れない。