【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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今の桂は、見ず知らずの女だと思えば、確かに美しい。

今まで見たどんな芸子よりも艶やかだ。だが、桂だ。かつて共に闘った仲間だった奴。幼なじみ。

自分は元来性的には淡泊なものだ。あのとき、男として、飢えていたわけでもない。別に女に不自由しているわけでも。

それに、何より、勢いだけで行為に及ぶほど、若くはないのだ。自分も桂も。

それなのに。



机の上に置いておいたはずの紅い簪がないことに気づく。いやに大切にするんだな。

銀時にもらったという簪を俺に触らせることすらいやがる。

昨日は、そんな奴の仕草が妙に頭に来た。昔から、あいつは銀時と共にある。どんな混乱の中も、信頼して、背を預けるのは決まって奴だ。

まあ、彼奴に着いていけるのは銀時くらいだったろうが。