【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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「必要ならば、別にかまわん」

喜ぶか、予想通りだとあの嗤いをするだろうと思っていたら、意外なことに、高杉は驚愕の表情を見せた。

演技などではない。これは、こやつが心底驚いたときの表情だ。

「?!」

「その代わり、貴様の目的を正直に話せ」これは案外、交渉としては上等ではないか。

「・・・・お前は」

そこまで言って、また高杉は口をつぐんだ。

あきれたように、だが、何か考える様子でしばらくすると

「後悔、すんなよ」と言って近づいてきた。



俺の肩を両手で掴んで、引き寄せる。髪をとめている紅い簪を、どうやらくわえて、落としたらしい。カチャンと、床に高い音が響いて、長い髪が散らばった。

気障なことをする・・・と思った瞬間、

「もう少ししたら、教えてやる」

耳元で、高杉が低くささやいた。その吐息と、声音にぞっとする。今まで聞いたことのない声だ。まるで、男が女を口説くようじゃないか。

俺相手に・・・好きにするが良いと言って覚悟を決めている俺相手に・・・なぜそんな声を出すんだ。