【空知英秋】銀魂 二百十四訓

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>>127

そっと、抱き寄せられた。

結い上げていて見えている項に唇が押し当てられたのが分かる。

ちりっと、鋭い痛みがした。・・・こいつの行動はおおよそ理解できない。

文句を言おうかと思ったそのとき、奴が耳元で、本当に小さくささやいた。

「大事にしてやってくれ」



それだけ言うと、俺の顔も見ずに、くるりときびすを返して歩き出した。呼び止めようと思ったが、ここで高杉の名を出すのもどうか。

逡巡ののち、「おい、待て!」と声をかけた。

顔だけ半分振り返った奴の、顔はいつもの憎たらしい顔で。

「今日のお前は、・・・存外悪くはない」

なんと言ってみようもなかった。

最後に、奴がいつものように、ニヤリと嗤ったのがかすかに見えた。