8.これからの道
すこしして、男の子が生まれた。
まだ桂が男にもどる気配はないが、「乳が必要なうちはもどれぬ」といかにも桂らしいことを言うので、
そのまま、まだ万事屋にいる。
生まれた子供は、あまり夜泣きもせず、手がかからなかった。周りが冷やかしに来たり、世話をしに来てくれるので助かっている。
お父さんに知らせなくて良いのかな?と銀時は思うが、いやいやいや、何かもうそれ考えると気分悪くなるから辞めようとも思う。
子供が三ヶ月になった頃、桂が息子を胸に抱きながら、買い物に行った。
夕暮れ時。一人の浪人風の男が橋のたもとに立って夕日を眺めている。その風情が、やけに情緒的で、不覚にもじっと見つめてしまった。
男が、こちらに気づいて自分を見る。傘ごしに視線を感じる。
この気配、たたずまい、間違いない。
----高杉。
いつもの派手な着物ではなく、ごく普通のなりだったので一瞬分からなかった。