>>107 なんとなく事情を察したお妙などが割ってはいってくる。
「まあ銀さん、妊婦さんに乱暴しちゃ行けませんよ。何してるんだ、ゴラア!」
「何で俺えええ???」
「ひどいわ、銀さん、わたしというものがありながらあああああ!!」と狂乱するさっちゃん。
「あの、すまない。誤解しないで欲しい。これは・・・銀時の子ではない・・・こ奴とはすぐ離婚するから許してくれ」
と、彼女らを傷つけまいと必死に(本当のところは言えないため)彼女らをなだめようとした。もともと、銀時を巻き込んだに過ぎない。
彼女らの恋路の邪魔は自分は出来る立場ではないのだ。
ここで、この子供を理由に離婚できたら、銀時にかける迷惑も軽減されるのではと考えていた。
ところが、
「何言ってるんだい。子供には親が必要だろ。誰の子でも、夫婦になると決めたからには、二人で育てていくって言うのが筋ってモンだろ。だいたい、
前の男のこともしらないであれだけ大げさな結婚申し込んでおいて、子供がいました、ハイさようならなんて、責任なさ過ぎるだろ、銀時!!!」
とお登勢が一括。
あまりの剣幕に、一同シーンとなり、銀時はがっくりと肩を落とした。
「花嫁は、幸せにならなくっちゃねえ」最後のお登勢のせりふも、一同を感動させた。
6.この道の行方
二人きりになったとき、銀時がぽつりと、力無く言った。
「これで、俺はお前と当分離れられねえよ・・・分かれたら、俺、最低男のレッテル張られちまうもの。はは・・・」
「す、すまない・・・」
「でも、これで結局子供産んで、おまえが男にもどったときに俺は捨てられた亭主を演じればいい訳ね。バツイチな訳ね。マダオな訳ね。
どっちにしても、マイナスイメージじゃん!!!俺!!!!どうすりゃいいの!ちょっと、責任とってもらうからなアアア!!」
「すまない・・・」
このときばかりは、神妙な面持ちで頭を下げる桂に、もうしょうがないかとため息をついた。
元はと言えば、こうなることと分かっていながらも、桂と将軍の結婚を阻止した自分の責任でもある。
「しかし、こんな尻軽女だと分かってたら、俺は絶対嫁にもらってやン無かったね!
ていうか、将軍とこ行くの助けてやっただけだし??関係ないけどね・・・で、相手誰??」
知らずに問いつめてしまうのは仕方がない。
なかなか口ごもる桂に、
「何?覚えていないわけ?それとも、誰だか分からないくらい大勢の男としたわけ?」いらいらしてついキツイ口調になってしまう。
「・・・そんな何人もとなど、するか!!一人としか・・・」ぼそぼそと小声になる。
「で、だからそれは誰よ?」
「・・・鬼兵隊に一ヶ月近くいたのだ。・・・察してくれ」
これ以上は言えないと、貌を紅くしてそっぽを向く桂。女だから妙に可愛いと思えるが、
これが今までのあの桂だったらきっとボコボコにしてやっている。
・・・というか、桂の今の発言に、一人思い当たりすぎる人物が思い出されて、
「・・・・・まじかよ・・・・」
銀時の顔が引きつって、笑ったような顔になった。
・・・そして、沈黙が始まった。
その夜、初夜だからと、気を遣って?神楽がお妙の道場に泊まりに行った事も手伝って、ことさら静かに万事屋の夜は更けていった。
なんとも、夫婦になった割に、最初と同じ暮らしが始まって、
まあ、これはコレで良いかもしんないと思いつつ、
子供産んだら、桂ってお父さんなのかお母さんなのか、はたまた、本当の父はどうするんだろうかなどと色々考えては悶々とする銀時だった。
・・・ああ、生まれてくる子が、どうか桂に似ていますように。もし、あいつに似て獣みたいな目の子供だったら、俺は愛せる自信がないです。