【サンデー/若木民喜】神のみぞ知るセカイ FLAG180
> 歩美攻略最終段階の周囲で、蠢くヴィンテージ―― FLAG185「シャドーシティ」
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> 闇夜を飛び交うヴィンテージの集団。
> 自宅の隅で、ディアナと天理はひざを抱え桂馬を待つしかできない――
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> 鮎川家から離れた場所の上空。
> ハクア「どうして!?」「どうしてまた戦いを始めるの!?」
> リューネの羽衣が迫るハクアを押しとどめる。リューネは言葉ではなく、カッターの刃を返す。
> その一撃をハクアは滑り込むようにかわし、リューネの懐からばっさりと斬りつける。
> ダメージを受けたリューネは、痛みを快楽に変えるかのように、傷口をまさぐる。
> そしてハクアの首筋にカッターを突き立てる!2人は近くのビル屋上に墜落。
> そのまま馬乗りになり、ハクアの顔面めがけて幾度となくカッターを突き刺そうとする。
> なんとか鎌の柄でしのぐハクアに対し、狂気を帯びたリューネの笑い声がこだまする……
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> ちひろ「……ねぇ、桂木!!」「歩美がどこ行ったかわかってんの!?」
> 桂馬「ノーラが位置情報を送ってくれてる。」「海に行くって言ってたから、もう近いはずだ。」
> 桂馬は歩道橋のそばで足を止め、ノーラに渡された端末を見る。
> 「海浜公園に向かってる…!?」「くそ…ヴィンテージの巣の目の前じゃないか…!!」
> (このまま攻略続けていいのか?)(ヴィンテージに歩美が捕まったら元も子もない…)
> 再びちひろの手を引き、海浜公園へ行こうとしたその時。
> 事情なんて知りようのない一般人の乗る自転車が、透明化した桂馬たちの間を引き裂く。
> 桂馬を見失い、その場でちひろが呼ぼうとする。が…間の悪いことに、2体の黒フードがちひろを取り囲む。
> 桂馬はあたりをつけ、ちひろを抱き寄せ静かにさせる。
> 黒フードたちは獄語で何かを話し、どこかへと去っていく。
> 「見えてなかったみたいだな……」「ちひろ、」「大丈夫か…?」「?」
> ちひろは桂馬の胸元に顔をうずめ、何も言おうとしない。
> 「ちひろ…?」「あ、あのさ…」「もう少しのガマンだから…」
> ちひろ「別に…」「ガマンなんてしてないよ。」
> 言い返してちひろは、胸ポケットの何かに気づいて手をつっこむ。
> 桂馬「おわぁ!!」「何すんだよ!!」
> ちひろ「いーつまでくっついてんのさ!!」
> そっぽを向きつつ取り出したものを握りしめる。
> 桂馬「す、好きでくっついた訳じゃない!!」
> 相手から離れて見えなくなった隙に、後ろ手に隠す。
> ちひろ「それより、」「早く行こーよ!!」
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> 桂馬たちは海岸沿いをひた走る。
> ちひろ「桂木、もう歩美に打ち明けたら?」「今起こってる変てこな事も全部!!」
> 桂馬「ダメだ、打ち明けたら攻略できない!!」
> ちひろ「そんな事ない!!」「わかんないの!?」「歩美は待ってんのよ!!あんたが打ち明けるの!!」
> 桂馬の足が止まる。その背中にちひろがぶつかる。
> 桂馬「それが……」「お前たちの作戦か?」
> ちひろ「へ?」「な、何よ…作戦って……!!」
> 桂馬(妙に歩美が強気だと思ったが…)(そういうことか…)
> 「安心しろ。」「もう、引き出しは尽きた。」「歩美に打ち明けるよ…!!」「何もかも!!」
> それまで聞く耳持たずだった桂馬の返事に、ちひろは一瞬虚を突かれる。
> ちひろ「うん…」「それがいいよ…」
> ちひろはうつむき気味に、左手を見る。
> 握っていたのは先ほど取り返した、前夜祭前に桂馬にあげたギターピック。あのころを思い、心が曇る……
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> あかね丸の船上。
> ノーラ「この船、懐かしいわね―――」
> 「よりによってヴィンテージの目の前なんて、」「すごい場所に来るわね、この娘も。」
> (その割には見つからなかったな…)(どうしてだろ…?)
> (もしかして女神を捜しているのは…)(ヴィンテージ全員って訳じゃないのかな…)
> (どっちにしても、)(ここが最後の舞台ね……)
> マストの上から甲板の歩美を見下ろす。歩美はウェディングドレスに身を包み、桂馬を待つ。
> 歩美(もうこっちも引っこみつかないよ…)(ホントにホントの気持ちを教えて…桂木!!)
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> ■次号、花嫁が待つ舞台へ!