>>15続き
『他の者にこの時の王の心情の変化が人に利するか否かを知る術は無い』
『……今この時においては王自身ですらも』
ネテロ「まだ闘いは終わっちゃいねェ」
立ち上がり、構えるネテロ。
王「既に勝負は決している、その傷では生き永らえる事も難しかろうが……僅かな余生を全うせ」
王「…………とは言うまい」
王「この期にまでも及ぶのならば無意の死も美徳……」
王「余が直々に手向いてやる、かかって来るがよい」
『先の業によりネテロには既にオーラは残っておらず』
『また、残さないからこそ零はその威力を実現し得た』
『現在(いま)のネテロに叶うのは、純粋な肉体による打撃のみであり』
『全霊の技を耐え抜き、オーラにも余力を残す王に通用する道理は無い』
『しかし』
『王にとってはもはや羽虫程の力しか残さぬ敵であったが』
『先の健闘への敬意を忘れる事は無く』
構える王。
『念を解き、純粋な武道家としての戦いを受け入れた』
ネテロ「…………」
『観音を操る力を残さぬネテロだったが』
『最後の拳を放つ前にも祈りの所作は怠らなかった』
祈った次の瞬間、ネテロの正拳突きが王に直撃する。
驚く王。