しかしF氏とA氏の思惑は別のところにあったのだと。
それを直にではなく、伝聞で聞き及んだと私に教えてくれま
した。
今回の件が公になればサンデーは揺らぐ。
それは雷句氏だけではなく、誰でも考え得る事態でした。
大きく、堅強な柱――作家たちに支えられたサンデーですら
もあわや沈没しかねない事態になるだろう、と。
そしてそれは先にも言った通り、本心ではない、と。
ならばいっそのこと、辞めてしまおうか、という雷句氏に対
してF氏、A氏が出した最大のフォローがこれだったという
のです。
F氏はK社月刊誌用の企画を、K社に頭を下げて引き払い、
A氏は小学館に対しての前言を撤回し、頭を下げて。
共にサンデーを支える柱になることを選んだというのです。
「自分たちが絶対に支えきってやる。
絶対にサンデーを沈没させることはないから、納得のいく
までやれ!」
その言葉だけを電話で聞いたと、雷句氏はいいました。
そこでようやく私に対しての、雷句氏からのお願いに戻りま
す。
「もし可能であるのなら、サンデーで連載して欲しい」
雷句氏は私にもサンデーを支える柱になって欲しい、と言う
のです。
「本当にわがままなことだけれども、自分のせいでサンデー
を沈めるわけには行かない」
これが雷句氏の気持ちでした。
去り際に雷句氏はこうも言いました。
「自分は裏切り者かもしれない。
読者に対して、小学館に対して、サンデーに対して。
いずれにせよ、もう少年誌で描けるような人間ではない」
と。
私は、まだ迷っています。
自分がF氏やA氏と共に、サンデーを支える柱になれる器で
あるのか。
……本当、どうしたらいいんでしょう……
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