☆魔法先生ネギま!☆246時間目

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907名無しさんの次レスにご期待下さい
静かな暗い視界に少しずつ光が戻り、意識が覚醒していく。
「ん・・・」
あれから何分たっただろうか?目が覚めた千雨は今の時間が知りたかった。グラウンドから響いていた声も聞こえない。
「(何分というよりも何十分か?まあ、いいや)」
ゴロリと身体を仰向けから横にして、もう一度寝ようとしたとき何かが足りないことに気づく。
「あいつ、どこいった?」
起き上がって周りを見回すと人の影すらない。小鳥はいる。だが、飼い主がいない。
「まさか飛んでるとか・・・」
当然上を見てもいるわけはない。「アホか私は・・・」と呟くと。手を床に置こうとした。その瞬間、手に温かく柔らかいものが触れる。
吃驚して思わず手を引っ込めて、その方向を見ると褐色の少女が寝息をたてていた。
「こいつも寝てたのか・・・隣にいるのに気がつかなかった」
猫のように丸くなって寝ているザジを温かい目で眺める。だが、よく見るとブレザーを着ていない。
「マジかよ・・・ったく・・自分が風邪ひいたら意味ないだろうが」
自分にかけられたブレザーを持ち主のザジにかけ直す。ついでに自分の身体を密着させる。ザジの体温が温かくて気持ちがよく、春の日差し
も手伝って直ぐに再び眠気が襲い来る。抵抗しようと思えばできたかもしれない。如何せん、この柔らかく落ち着く感覚には逆らえそうも
なかった。二度寝ならぬ三度寝だな、と思っていると時間のことを思い出し、一旦起き上がって鞄の中から携帯を取り出すと10:00を表
示していた。
「あちゃー・・・こうなったら午後まで休むか!うん、そうしよう!」
開き直った千雨は独り言を言いながら満足げに頷く。再び寝転び背中からザジに抱きつくと、数秒しないうちに夢の世界へ旅立ってしまう。
数分して入れ替わるように今度はザジが起きた。正確には起きていたが千雨が寝るのを待っていた。
無防備にも自分に抱きついて寝ている千雨の腕の中で、もぞもぞと身体をしなやかに回転させて向き合う状態になり、ジー・・・と寝顔を見つ
めていると柔らかそうなピンク色の唇が目につく。
「・・・おいしそ」


素直にそう思った。恐らくザジにとっては、どんなお菓子よりも甘い味がするのだろう。一度味わった・・・それも落花流水の情を寄せあう仲の
ザジにしかわからない。とっても甘い極上のおやつだ。ゴクリと喉を鳴らしその唇を味わうことしか考えていないザジは顔を近づけ・・・られない。
腕に力が入れられて、ザジの肩を強めに抱きしめてくる。
「おい・・・昼間から盛るなよ」
「ね、ねてなかったの・・・?」
確かに寝てはいた。だが、ザジが腕の中で動いたおかげで夢の世界から帰還したのだ。しかも、明るさに慣れるために薄目を開けていたから殆どの
ここまでの経過を観察していた。中々、性格が悪いようだ。もっともそれはどちらにも言えることではあるが・・・。
それはともかく、観察をしていたら顔を近づけてきたので表情は至って普通に、だが内心ドキドキしながらザジを制したわけだ。
「ったく・・・しょうがえな」
呆れたとばかりに溜め息を交えながらザジを見る。
「・・・・うぅ」
叱られた子供のように下を俯くザジはとても可愛らしい。それを見ると千雨はキュン、と胸を締め付けられる。
いじめたい様な、甘えさせたいような・・・そんな感じだ。そして、自分もザジの唇に目を奪われていたことに気がつく。
「(これじゃあ、人のこと言えねぇな・・・)」
卑怯と分かりつつも千雨はザジの唇を奪う。