☆魔法先生ネギま!☆246時間目

このエントリーをはてなブックマークに追加
902名無しさんの次レスにご期待下さい
壁時計の針音は妙に鈍い。
一秒間が闇の重さで引き延ばされてゆく。
ネギ先生と明日菜さんは未だ部屋に戻られてない。
あのお二人だから、ひょっとするとこの停電に関係あっての事かも知れない。
またトラブルにでも巻き込まれているのだとしたら……しかし、この部屋を出て行く訳にはいかない。
私は何より先立ってお嬢様の護衛である。
お嬢様を危険な目に遭わせてはならぬ、片時もお側を離れずその身をお守りせねばならぬ。


 床を擦る音がしたと思ったら、お嬢様が先よりも尚近くへと寄ってこられていた。
お嬢様は寝間着にたくさん上物を重ねられていた。
それらの上には更に毛布を掛けて、さながら十二単を纏った宮女のようである。
その毛布ごしに二人の腕がぶつかった。
緩やかな空気の流れが蝋燭の火を大きく揺らした時、お嬢様が私の肩に寄り掛かられて、
猫を撫でるように甘く囁かれた。
「せっちゃん……考え事してはるん?」
私を覗く眸が蝋の灯で艶やかに輝いている。
しかしその表情には微かな憂いが差し挟まれた。
そのお顔が目見えた時に、不安なのは自分ばかりではないのだと気づかされた。
停電の闇と雪夜の冷えが私達を臆病にさせる。