☆魔法先生ネギま!☆246時間目

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「拙者……見てしまったでござる。4月の半ば頃、橋の上で、ネギ坊主と、あのこまっしゃくれ…エヴァンジェリンといったか。
 そなたら2人が、自らの信念を賭して、戦っていたのを……。
 その時……エヴァンジェリンの相棒の茶々丸というからくり人形、それの邪魔立てを防ぐための相棒として……
 ネギ坊主は、アスナを選んだのを。クラスの仲間が「パートナー」になるのを、思惑はどうあれ切望しているというのに、
 その時は、そういう話を冷ややかに見ていた、アスナを選んでいたのを……。
 拙者は、ネギ坊主から、特に何も聞いていなかったから、事の成り行きを影で見守っていただけでござったが……
 もしも、拙者があの時、パートナーだったらば、あんなもどかしい事には絶対させない、誰にも落ち込んだネギ坊主を見せない!
 もう2度とネギ坊主が悲しくなるのを見たくない!……自画自賛ではござるが、そうする自信があったでござる……。
 ネギ坊主……どうしてアスナなのでござるか?どうして、みんなや、拙者を信用しないで、アスナだけを信用するのでござるか……!!」
「!!…………な、長瀬さん……。」


穏やかで、且つ、冷静な普段からは想像も出来ない、
敗北感と、悲しみと、切なさを湛えた顔で、楓は、ありのままの心情をネギにぶつけるように叫んだ……


「すいません……長瀬さん。
 僕は、別に、長瀬さんや、アスナさん以外の皆さんを信頼していないわけではないのです。
 ただ……アスナさんは、一緒に暮らしている、お姉ちゃんに似ている、というのもそうなんですが、
 エヴァンジェリンさん、茶々丸さん以外は、ただ一人、僕の魔法の力の事を知っていて、
 今まで、その事が他の皆さんに知られないように色々と気遣ってくれていて、あの時のような
 自分の正体に関わるような緊急時には、事情を知っているあの人しか心置きなく頼める人がいなかったのです。
 それに……何より、あのような、下手をすれば全生徒まで被害が及ぶような事態に、何も知らない他の生徒を
 自分の身勝手で迷惑を被らせたくなくて……本当は全部一人で抱え込もうと考えたのですが……………………。」


切実な楓の問いかけに、今おかれている状況も省みずに、ネギは真摯に答えた。


「……本当に、優しいでござるな……ネギ坊主。昼間言ったとおり、それ故に苦しむほどに。
 関係の無い、事情も知らない連中を巻き込ませたくない……その考え、全くもって真っ当な考えでござる。
 だが……本当に苦しい時、困った時には、苦楽を共にした仲間と相談し、
 力を合わせて、その困難に打ち克とうとするというのも、また真なりでござるよ。
 日本では昔から「困った時はお互い様」という助け合いの精神が根付いているでござる。
 それこそ、魔法以外の面で、ネギ坊主には、アスナ以外にも、苦楽を共にした面々がいるではござらんか。
 同じく同部屋の木乃香、期末試験前の悪あがきで一緒に頑張った図書館トリオと、拙者も入っているバカレンジャー。
 だから、自分の手に負えないことがあったときは、もっともっと、拙者たちを頼ってもいいでござるよ。
 そして、周囲に被害が及びそうな戦闘が起こりそうな時は、躊躇せずに、拙者を頼ってきて欲しいでござる…………。」


路頭に迷う我が子に自身を戻させつつ諭す母親のように、楓はネギに語りかけた……


「長瀬さんがそこまで考えているとは思わずに、苦しませてしまいましたね。ごめんなさい……。
 これからは、自分自身を鍛錬していくのは勿論ですが、どうにもならない時は、
 皆さんや、長瀬さんを頼って、共に困難に打ち克ち、互いを信頼し、それで得た物を自らの糧に出来るよう、頑張ります……。」


「本音を言うと、そのような事態の時以外の、まったりとした日常でも、もっと、拙者を頼ったりして欲しいものでござるが……」
「えっ?それは一体……」
「拙者に、二度も恥ずかしい思いをさせるつもりでござるか?
 それは……その……何と言ったら良いでござるか…………。
 ネギ坊主の、先生としての、魔法使いとしての奮闘を見守っている内に、好きになってしまったということでござる!」