☆魔法先生ネギま!☆246時間目

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夜中――――――


昼間、楽しさのあまりに疲れを忘れたのか、入浴後どっと寝てしまったネギと楓、
今回も一緒のテントの中で夜を迎えていた。
そんな中、ふと目覚めた楓は、母親が我が子の成長を優しげに見守るような顔でネギを見つめながら物思いに耽っていた。


(ふっ……。
 10歳そこいらでずば抜けて頭がよくて教師を務め、おまけにとんでもない魔法まで使って……。 
 線が細いながらも中々どうして頼もしく感じられるというのに、こうしていると普通の子供と変わらないでござるな。
 修行のためとはいえ、経験が少ないこの年齢では、怖いと思う事も結構多いでござろう……。
 それを、よくもまぁこの小さな体で耐え抜いて……常人とは違う環境とはいえ、
 拙者の十の頃はここまでのことが出来たでござろうか…。まぁ、怖い思いに巻き込ませた片棒担ぎが考える事ではないでござるな。
 ふふっ……。こんな事考えていると、何か、拙者がネギ坊主の母上になったような錯覚に陥っているみたいでござるな…………?)


「……あ……さん……。」


やや照れを感じつつ楽しげに考え込んでいた楓の耳に、ネギの寝言が微かに流れ込んできた。


(何か、夢でも見ているのでござるかな……いったい、どんな夢を見ているのでござろうか。
 故郷の思い出?今までの出来事の回想?……職業柄とは言えど、我ながら悪趣味でござるな…。)


自嘲しつつ、楓は、ネギの夢によって紡がれる寝言に聞き耳を立てた。そこには……


「……すなさん……あ…なさん……アスナさん……」


夢の中でも、ネギは、アスナの後ろで子犬のように尻尾を振っていたようである……


(やれやれ……夢の中でもアスナの心配でござるか……。
 学園長の奨めとはいえ寝食を共にして、そして、ネギ坊主の姉上に似ていると聞いた事があるとはいえ、
 こんな事を、ネギ坊主に夢中になっているまき絵や委員長などの皆が聞いたら、さぞ淋しがるでござろうなぁ。
 最近は、最初の頃より仲良くなっているとはいえ、まだ色々と干渉しているように見受けられるのに、良くついていけるでござるな…。
 拙者がアスナの立場だったら、人として、男子としてするべき事の口出し以外は、全て受け入れて、立派になるまで守っていたいのに…)


ずきんっ


(!?……何だ、今の感じは……?
 まさか、拙者が、アスナに嫉妬……?
 そんな……ネギ坊主の心は彼奴の方に向いているというのに……。
 それこそ、クラスの一部はその両人の雰囲気から半ば公認にしていると言うのに……。
 しかし…しかし……この感じは……ああ、胸が苦しい……ああ、淋しいでござるよ……。)


産まれて初めて、職業的に押し殺そうとしても潰えない感情に、楓は戸惑いを禁じえなかった。