そして、寮の玄関前のロビーにて……
「……ふむふむ。ふむふむふむ。全く問題ありません。
すごいですよ。これだけ短時間で理解できるなんて。昨日の所だけでなく次の所まで。」
「あ…ありがとうございますー。」
「何となくですが、宮崎さんが皆から「本屋」と呼ばれている理由がわかった気がします。」
「……ネギせんせいまでそういう事言うとは思わなかったです……。」
「あ、ご、ご、ごめんなさい!!気に障ってしまいましたか?」
「くすくす……いいんです。もう慣れっこですので……。」
「あ、あは、あはは…………。
えっと、他には、何か質問はありませんか?授業の事だけでなく、クラスの事とか、生活態度とか。」
「あの……着任して早々忙しかったみたいなのであまり知らないのですが、
ネギせんせいの事とかについて……色々とお話をしたいのですが……ダメ、ですか。」
「え?ええ……まだ時間はいっぱいあるので、いいですよ。聞きたい事があれば、何なりと。」
(なななな、何で僕の事を……。でも何でだろう、あまり気恥ずかしいと思わないな。魔法以外の事だったら…。)
のどか、早い目覚めで少しハイになったのか、普段では考えられない大胆なもう一歩を踏み出した。
「えっと……いま、居候している部屋の、アスナさんの事は、どう思っているのですか…?」
「んー、皆の評判どおり、粗野で、凶暴で、言いたい事をズケズケいう、怖い人です。
でも、時折、生徒として、或いは人として至極真っ当なことを言う、良い面を持っています。
まぁ、性格が性格だからか、たまにそれだけの事を言っておきながら自分を律せない事があるようですが。
今同室しているのは、さっきの良い所と、自分の姉に雰囲気が似ている所に惹かれたから、かな?そんな所です。」
「そうですか…………。」
(なんで、アスナさんの事を僕から訊く必要があるんだろう……。まさか……ねぇ?)
この時点で、そのまさかが、現実となり、自分の世界を変えるとは、ネギには夢にも思わないであろう。
「あ、あの……。」
「は、はい?」
「私の事は……せんせいから見て、どう思いますか?どんな事でも言って構いません!」
(宮崎さん、なんで、こんな事でムキになっているのかな?
顔赤くして……でも、何か、愛おしく感じる……。この際、嘘を言うのは止めよう。)
「率直に言うと、宮崎さんは、端から見て、危なっかしく思えてくるのです。
引っ込み思案だったり、あまりイヤな事をイヤと言えなかったり、よく逃げたり、転んだり。」
(!!!!そ、そんな…………。)
いきなり、ネギに神妙な顔で自分の短所をハッキリと言われ、落胆しかけるのどか。しかし……。