「ただいまー、のどか。……あれ、もう寝てる。」
(あ、そっか。『例の作戦』の為に寝てるんだ…。)
気を遣い、なるべく音を立てないように動くハルナ。
明日の準備をしようとしていたとき、不意に、のどかが借りた本に目がいく。
(ん?医学書っぽい本に写真週刊誌のストック…何に使うんだろ…ちょっと見ちゃえ…………な、何じゃこりゃぁああ!!)
その本の中身に、ハルナは心で叫ぶ事を禁じえなかった様である。
(あ、あは、あははははは…………同人誌でも試してない事を……
私の想像の遥か上飛んじゃってる…じゃなくて、のどかちょっとそれは先走りすぎだよー。)
一体ハルナは何を見て戦慄しているのだろうか?
「ただいまです…。」
(のどかはともかく、なんでハルナまで寝ているですか…?)
安らかな寝息をたてて寝ているのどかと、何かに怯えるように蹲って布団虫になっているハルナを見て、
原因を目で探る夕映。そして、のどかの机にあった先ほどの蔵書を見つけ、目を通し……そして、口元を歪めた。
(ふふ……これで、朝の件以上にのどかの本気が判りました。
しかし明日はバカレンジャーの居残りテスト……ここは一つ、二人の為に一肌脱ぐとしましょう!)
特殊部隊を彷彿とさせる、普段はパジャマ代わりの抹茶色のツナギを纏い、軽装備で夜の図書館島へ出向いていった…。
今回は人助けという事で明日菜の御咎めを受けなかったネギ。
明日の労働のために既に寝た明日菜をよそに、明日の授業と小テストの準備をしながら物思いに耽っていた。
(むー、何なんだろう。アレ以降、どんなに集中しようにも宮崎さんの事が頭をよぎる……。
確かに、バカレンジャーや木乃香さんより会う事は少なくても、中身は濃密だよなぁ。
図書館での一悶着、彼女の友達による前髪御開帳、それと、着任初日と今日の救出劇…。
特に今日は、助けたあと、何となく、胸の中が甘酸っぱい感じで一杯になっていたし………。)
「ネーギ君っ、何仕事止めて考え事してるん?」
木乃香が、ホットレモネードを持ってきてネギの様子を伺った。
「あ、木乃香さん。いや、今日もまた色々とあったなー、と思いまして。」
「本屋ちゃん救出とか、本屋ちゃん救出とか、本屋ちゃん救出とか?」
「ぶ――――――――――!!!!!ななななな、何言い出すのですか!?」
「あははは、やっぱり。そんな事やろ思たわ。」
木乃香に図星を突かれ、レモネードを噴き出してしまうネギ。
「まぁ、確かにその通りなんですが…。教師として、なるべくなら不平等無く
皆と接していきたいと思っているのですが、今日はどういうことだか、そういう考えが飛んでしまって…。
気が付いたら、まぁ、木乃香さんの読み通り、宮崎さんのことばかり考えているな―――――――、と。」
「なるほどなー。まぁ、たまたま本屋ちゃんとの間で衝撃的な事が重なったからとちゃうんかな?
せやから、あまり気にする事はないんちゃう?もうちょっと教師続けてみれば、他の子とも色々あるから、それで釣り合う思うけど。」