「アデアット」
宮崎のどかの声に応え、一冊の本が現れた。人の心を読むことの出来る、不思議な絵日記。夜、寝る前に
ベッドの中でこの本の使い方を練習するのが、のどかの最近の日課だった。
“○月×日 △曜日 のどか”
“ネギ先生のために、今日も練習。いつか、この力でネギ先生のお役に立てたらいいなと思います”
のどかは目を閉じてネギの姿を思い浮べる。礼儀正しく、それでいて子供らしい快活さを併せ持つ魅力的な
少年。それでいて目に宿る意志の光は、しっかりとした目的を持った大人のようだ。そんなネギに、はっきり
言ってのどかは惚れていた。すでにその想いは伝えていたが、返事は聞いていない。教師と生徒だし、
ネギは十歳なのだから、今はまだこのままでいいと思っている。これは本心だ。けれど、いつかは……。
“私の夢は、ネギ先生と両想いになってロマンチックなキスをすること。それも、できればディープキスを……
キャー”
“ネギ先生が私の顔を見つめて、
「のどかさん、キスしましょうか」
「は、はい……」
ネギ先生のりりしい顔がゆっくりと近づいてきて、私は目を閉じる。二人の距離は息の音が聞こえるくらい
近くて、ネギ先生がドキドキしてるのが伝わって来る。やがて、ネギ先生のやわらかい唇が、そっと私の
唇に触れて……”
絵日記には、ネギとのどかが唇を重ねている絵が描かれている。のどかがドキドキしながらそれを読んでいると、
だんだん絵が変わってきて――
“大好きなネギ先生とのキスに頭のなかは真っ白。すると、唇に熱くて湿った感触が――ネギ先生が舌を
入れてきた。私も舌を伸ばして、夢中で舌を絡めあう。お互いの唾液が混ざりあって、ネギ先生の唾液が
私の喉に流れ、私の唾液をネギ先生が飲み込む。ぴちゃぴちゃと、びっくりするくらい大きな音が響く”
絵日記の中のネギとのどかは、激しく舌を絡め合っている。絵の中ののどかに影響されて、現実ののどかも
だんだんと興奮していくのを感じた。まるで、自分が絵日記の中にいるかのように。
“私は一糸まとわぬ姿でネギ先生の前にいる。恥ずかしくてうつむいていると、ネギ先生はやさしく頬を撫でて、
「綺麗ですよ、のどかさん。もっとよく見せて下さい」
私はこくんと小さくうなずき、ゆっくりと両脚を開く。そうすると、ネギ先生はそこに手を伸ばしてきて――”
現実では実際に秘所に手を伸ばしているのはのどか自身である。パジャマの下と下着を半脱ぎにして、
絵の動きにあわせて右手を動かし、
「あ……だめです、そこ……」
などとうわごとを呟きながら、中指で秘唇をかき回している。
“裸のネギ先生が、私に覆いかぶさってくる。
「……やさしくしてくださいね」
「はい」
ネギ先生のが、私の入口に触れているのを感じる。ためらうように割れ目をなぞる動きを繰り返す。
そして……意を決したように、ネギ先生が腰に力を込める。ついにそれが私の中に入ってきた”
「ふわぁぁぁっ」
のどかの喘ぎ声がボリュームを増す。
「何事ですか?」
二段ベッドの上段に寝ていた夕映がその声に驚き、体を起こして心配そうに覗き込む。だが、そんな夕映の
様子ものどかの目には映っていない。
“ネギ先生のペニスが私の中を一気に最奥まで貫いた。不思議なことに、私は初めてだと言うのにまったく
痛みを感じない。ただ、体の芯が熱くなるのだけを感じていた。
「どうですか、のどかさん?」
「あ……気持ちいいです、すごく……」
「のどかさんはHな娘だったんですねぇ」
ネギ先生は意地悪そうにくすくすと笑う。私は恥ずかしくて顔がかあっと真っ赤に染まった。
「そ、それは……あの、先生はHな娘は嫌いですか?」
「いいえ」
ネギ先生は優しく唇にキスをして、
「大好きですよ、Hなのどかさんの事」”
「大丈夫ですか、のどか、顔が赤いですよ」
夕映がベッドを降りてのどかに声をかけるが、やはりのどかは気付かない。
「どうしたですか、のど……?!」
夕映はよく様子を見ようと覗き込みつつ、のどかの肩に手を触れようとして、途中でその動作を止めた。
「ごっ、ごめんなさいですっ、のどか」
なぜだか謝る夕映。しかし外の世界のそんな出来事に、のどかはまったく気付いていない……