☆魔法先生ネギま!☆246時間目

このエントリーをはてなブックマークに追加
804名無しさんの次レスにご期待下さい
「な……んで……」
「ウチな、もう、せっちゃんのこと、いらんようになったんよ」
「そん……な……」
「うまく行ったみたいね、このか」
「明日菜! ほら、せっちゃん。ウチにはもう、明日菜がおるんよ。だから、せっちゃんとはお別れや」
刹那は弱くかぶりを振った。信じられない。このかに向かって手を伸ばす。途中で落ちた。力が入らない。
急速に体中の熱が失われていく。視界がぼやけ、このかの顔が見えなくなっていく――
「明日菜、そろそろ止めを刺してやって」
「うん」
明日菜は気軽な声で返事をすると、呪文を唱えた。その手に身長より巨大な長剣が現れる。首筋に狙いを
つけ、大きく振りかぶって、
「この……ちゃ……」
嘘だ。何かの間違いだ。そうだよね、このちゃん。ねえ、何とか言ってよ、このちゃ――
振り下ろした。刹那の意識が永遠に断ち切られた。胴と離れて転がる首は、かっと目を見開いていた。
「この首、記念にもろとくわ」
「えーっ? 趣味悪いよ、このか。だいたい生ものなんだから、すぐに臭くなるわよ、そんなもの」
「ええやん、腐ったらそんときや」
このかは刹那の首を拾うと、ぬいぐるみみたく愛おしそうに抱きかかえた。それを見て、明日菜はため息
をつく。
「仕方ないわね。でも部屋には置かないでよ」
「わかっとるって」
そして二人は洞窟を立ち去る。
「まずは一人……」
 このかは緊張感が足りない。まずは強敵の刹那をうまく仕留めたものの、まだ殺さねばならない者は何人
もいるのだ。うかうかとはしていられない。このかに注意を促して、私も気を引き締めてかからねば。
 さあ、次の標的だ。明日菜は決意も新たに、剣の柄を握りなおした。




「明日菜っ、明日菜が!」
「とにかく、今は逃げないと」
佐々木まき絵、和泉亜子、明石裕奈、大河内アキラの四人は走っていた。クラスメートの神楽坂明日菜が、
血のついた大剣を持って誰かと口論しているところを廊下で目撃したのはついさっきのことだ。ただならぬ
様子に思わず隠れた四人は、さらに恐ろしい光景を見てしまった。明日菜に対峙していた少女が、後ろを向
いて逃げ出そうとしたところ、明日菜が一足飛びに間合いをつめて袈裟斬りにしたのだ。血のシャワーが廊
下を真っ赤に染める。断末魔の悲鳴。聞き覚えのあるあの声は、クラスメートの春日美空ではなかったか?
四人が恐怖に凍り付き、その場を離れられないでいると、ゆっくりと明日菜が振り返った。まっすぐ、こっ
ちを見ている。目が合った。気付いている! 四人は悲鳴を上げ、脱兎のごとく駆け出した……。
「亜子、大丈夫?」
 走りながらまき絵が心配そうに尋ねる。亜子はさっきの光景にショックを受け、顔面蒼白で今にも倒れそ
うだ。そう言うまき絵も、決して平気ではない。四人ともそうだ。あんな光景を見て、平然としていられる
わけがなかった。
「うん、ありがと、まき絵。……大丈夫やから」
「みんな、とりあえず外に出よう」
裕奈の提案に一同はうなずき、玄関を目指した。廊下を曲がり、階段を駆け下り、――玄関に着いた。
「ちょっ、ちょっと待って、裕奈」
裕奈が一番に外へ駆け出し、残りの三人が後を追おうとした、そのとき。
パァン!
乾いた破裂音が響き、裕奈がその場に倒れ伏した。「裕奈!」
裕奈は悲鳴を上げ、倒れたまま脚を抱えている。見ると、脚からおびただしい血を流していた。三人は裕
奈に駆け寄ろうとする。