「別に構わない」
謝罪を軽く流し袋の中身を確認する。咎める気は無かったわけではないが袋
の中身に気を取られていた。封を解き手を中に入れる
「・・・・・・」
中に入っていたのは数枚の写真だった。エヴァンジェリンは一枚一枚写真を丁寧
にチェックする。一枚目をみた途端、愛想のかけらもない仏頂面が破顔した。
「余計なことしおって」
タカミチを詰る。怒ってるわけではない、エヴァンジェリンにとってとても嬉し
いことなのだが、それを撮ってきてくれたタカミチに感謝の言葉の一つもでない自
らを恥じる。
写真を袋に戻し大切に大切に袋を抱きしめる。
「そうそう、ネギ君卒業試験合格したってさ。今朝お姉さんからメールが来てたよ」
「そうか・・・すまんな、タカミチ」
タカミチは「いやいや」と謙遜する。
「卒業式は来月だってさ。で、話は変わるんだけどね」
「?」
さっきまで神妙な顔つきだったタカミチがニヤニヤし始める。
「卒業祝いだよ、卒業祝い」
「卒業祝い?」
オウム返しをするエヴァンジェリン。茶々丸はマスターが意味を理解してないと
みたのか、
「卒業祝い、学校で所定の課程をクリアーした学生に記念になる贈り物を送ること」
と、フォローをいれる。
「言われんでも分かってるわ!」
茶々丸にツッコミをいれる。二人のやりとりが面白かったのかタカミチは思わず吹
きだした。
「そういえば、エヴァは卒業祝いもらったことなかったんだよなぁ」
「・・・・・で、どうすればいいんだ?」
エヴァンジェリンは顔を真っ赤に赤面しタカミチに相談する。さっきまでの仏頂面
は嘘のように激変して、いつのまにか歳相応の顔になっている。
「そうだなぁ、エヴァと同業者なんだから何が必要かは考えれば分かるんじゃないか?」