☆魔法先生ネギま!☆246時間目

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 翌日、主人に呼び出しがかかった。
 相手は主人の雇い先の学園長、主人はこの学園で特殊な警備員の仕事
をしている。特殊と言うのは普通じゃない招かれざる客を相手をするた
めだからである。
 主人は長嘆をつきつつも嫌々承諾し、学園長の待つ学園に向かうこと
にした。目的地は主人の雇い主が勤めている麻帆良学園中等部。家から
学園までは歩いて15分程の距離。
 今日は休日の谷間、部活動に励む生徒もまばらで普段は活気に満ちて
いる学園とは大違いだ。
 主人はタラタラタラタラ学園内を歩く、学園長から指定された時間は
午前10時、しかし今は午前10時30分待ち合わせの時間はとっくに
過ぎている。
 この主人は機嫌が悪いと平然と約束を破る困った癖がある。茶々丸
は諌めようと思ったが、逆に機嫌を悪くしてヘソを曲げられるともっと困
ったことになるので黙って付き従う。
 何人の生徒とも通り過ぎるが、話し掛ける人は滅多にいない。クラス
メイトともまともな会話はしない、主人いわく「ガキにはつきあいられん」
とのこと。故に主人と親交があるのはごく一部の人間しかいない。
 校舎に入り、職員室の前を通過しようとした時に主人を呼びとめる声が
した。

「エヴァじゃないか、どうしたんだ?」 
 主人を呼び止めたのは、逞しい体躯をした中年の男。服装はキチっとし
ているが咥え煙草と不精髭は頂けない。彼は二人の担任の教師で主人はタ
カミチと呼び捨てにして呼んでいる。彼は主人と付き合いのあるごくわず
かな人間なのだ。
「タカミチか、今日はジジイに呼ばれたんだよ」
 主人ことエヴァンジェリンは辟易しているのかウンザリした口調で返す。
やれやれと嘆息する。
「なんでまた?」
「どうせ下らない説教だろ、あのジジイは説教をしないと気がすまないらしい」  
 それを聞いてタカミチは苦笑した。「時間あるか?」と言ってエヴァンジ
ェリンにふる。エヴァンジェリンは首が縦に振って。
「じゃあ外にでよう、ちょっとここじゃマズイからね」

 タカミチは二人を校庭の近くにある公園に連れ出す。茶々丸は途中で「マス
ターお時間の方は・・・」と諌めたが、
 エヴァンジェリンは一言「待たせておけ」で黙らせた
 校庭の片隅にある公園には人っこ一人いない。休日以外は昼休みになると
生徒がたむろするのだが、休日はガランとして誰もいない。

「で・・タカミチなんの用だ。一応ジジイに呼ばれてるから手短にな」
 
 もう時間はとっくに過ぎてるいるのだがそんなことはもはや気にない。
 エヴァンジェリンはベンチに腰を下ろすと足を組んだ。はしたないが周
りに人はいないのを確認してのことだ。 
 しばらく世間話をする。仕事や学園の愚痴等をタカミチにこぼす。タカミ
チはニコニコしながら適当に相槌を打ってくる。気難しいエヴァンジェリン
が本音を見せる人間はそういない。
 
 エヴァンジェリンの一通りの不平不満を聞いた後、タカミチは懐から携
帯用の灰皿を取り出し、吸殻を突っ込んだ。一息ついた後に、上着のポケ
ットから小さな紙袋を取り出して差し出した。

「一昨日にさ、エヴァに渡しそびれたものがあってね」
「何だ?」
「ほら、イギリスに出張してただろ。その時に手紙とこれを受け取ったん
だけど現像するのに時間がかかってね。学校が始まったら渡そうと思ったん
だけど、ちょうどいいからさ」