「なんだぼーや。まだ剥けていないのか。
おまえの父親はもっと凶悪だったぞ? 色も形もな。
────しょうがないな。……茶々丸、一思いに剥いてやれ」
「えぇっ!?」
「…っ、マスター!?」
その言葉に、弟子と従者はそれぞれ驚愕を露わにする。
茶々丸は(密かに想っている子供先生に対する)思わぬ大役が自分に回ってきたことに驚き。
そしてネギは。
「師匠、父さんのおちんちんのこと知ってるんですか!?」
どぎゃーん、という効果音と共に、なんかズレた驚き方をした。
「っ、そーいうことは気にしなくていい!!」
壮大にズッこけたエヴァンジェリンが顔を赤くして怒鳴るが、ネギは
『えへへー、サウザンドマスターはそっちでも最強なのかー』
と、笑顔で夢想していて聞いていない。
「こ、コイツは……」
こめかみに青筋を浮き上がらせて怒りを堪えるエヴァンジェリン。
埒があかないと判断して、ネギを抱えたままの茶々丸に視線を向ける。
茶々丸も、エヴァンジェリンに伺うように視線を向けていた。
(ヤってしまえ)
と、顎で示す。
「で、でもマスター」
狼狽する茶々丸に、視線を鋭くする。「命令だ」と。
ごくん…と、体内冷却液の唾液を飲み込み、ネギのペニスに手を近づける。
「…す、すいませんネギ先生。なるべく、痛くしないようにしますから」
亀頭に指先を添える。
ぴくんっ──、とペニス全体が震えた。夢想から突然引き戻されるネギ。
ぷち…り…! という音がネギの頭の中で響いた。指がスライドされて、ネギの亀頭が完全に露出される。
「ひ…!? っ――――!!」
いかに茶々丸が優しくしようとしても、結局は粘膜に癒着している包皮を剥く作業である。
痛みを伴わないはずがなかった。
「っ……! ひ、酷いです…っ」
幸いに皮膚が破れるようなことはなく、剥けた箇所が少し赤みを帯びているだけだった。
それでも、身体の中で最も敏感な部分を強制的に大人にされた衝撃は、大きい。
涙目になって訴えるネギに、おろおろする茶々丸。
そんな二人を微笑ましく思いながらも、エヴァンジェリンは呆れた様子を見せた。
「あのな、イイことをしてやろうというのに、他に気をやったぼーやが悪い。
戦闘中にそんな真似をしたらどうなるかくらい判るだろう? 良くて負け。悪ければ即死だ。
……まったく、なんでこんなときに講義をしなくちゃならんのだ」
はーっ、と溜息を吐くエヴァに、ネギは途端に申し訳ない気持ちでいっぱいになる。
謝ろうとするのだが、上手く言葉が出てこない。
「……すいません、師匠…、僕…。あの……」
その様子を横目で見つつ、今でもサウザンドマスターのことを忘れられない自分のことを省みるエヴァンジェリン。
自分は悠久の時を生きる真祖だが――ネギは魔法使いであるとはいえ10歳の、しかも人間の子供である。
6歳で別れた父親を――どんなことでも求めるのは仕方ない事なのかと思った。