苦しげに息を吐くネギに、高音の正義感が刺激された。
困っている人を放ってはおけない──と、ネギの身体を抱えて走り出す。
「ちょっとだけ、我慢してください…!」
恐らくは授業中に尿意を我慢していたのだろう、と高音は考えた。
実際は、普通の考えでは及びもつかない卑猥なトラブルであったのだが。
腰を抱えられたネギは、そのわずかな振動でさえも感じてしまう。
高音が足を一歩踏み出すたびにスパッツに擦れるペニス。
勃起してスラックスまでも突き上げる形になったそれが、ネギを抱える高音の腕にあたる形になってしまう。
「あひっ、んぅっ! も、もうちょっとゆ、ゆっくり…ぃ!」
顔を真っ赤にして股を締めるようにするネギに、高音は慌てて走る速度を緩める。
その拍子に、ネギの身体も大きく前後に揺さぶられた。
立ち止まりかけた高音の腕に、服越しではあるが一際強く衝撃が走る。
敏感になり過ぎているペニスは、たったそれだけでも限界に達した。
びゅぶっっ!!
「あ…あひぃっ!?」
抱えあげられて宙に浮いたままの足を突っ張らせ、スパッツの中に精を放ってしまう。
どくどくと放出されるたびに、腰がびくびくと震えた。
ネギの喘ぎ声を聞いて、ネギが軽くおもらしをして悲鳴をあげたのだと勘違いする高音。
「す、すいません! すぐにトイレに──!!」
一般生徒が廊下に出ていないことを確かめると、高音は操影術を使って一気に走り抜けた。
程なくして、職員用トイレに辿り着く。
抱きかかえていたネギを慌てて床に下ろすと、背を押して男子トイレへと向かわせる。
「わ、私は外で待っていますから──……!」
顔を真っ赤にした高音に押され、ネギはふらつきながらも駆け込んで行った。
個室に駆け込む余裕すらなかった。
自分の出した精液でぐちゃぐちゃになってしまっているスパッツを早く脱いでしまいたい。
その思いだけで、ネギはトイレに入るや否やベルトを外し、スラックスを床に落とす。
上から触れた感触はさらさらとしているのに、その中にはねっとりとした精液溜まりがあるのがすぐに判った。
誰にみられているわけでもないのに顔を真っ赤にすると、スパッツを脱ぎ捨てるために指をかけようとした。
──のだったが。
ぴっちりと肌に貼りついたスパッツは、指の侵入をことごとく拒み続けた。
まるで皮膚と同化してしまったかのように、一向に指がかからないのである。
「ぬ、脱げない…っ、何で…ぇっ!?」
半ばパニック状態に陥ってしまったネギは、スパッツに無闇に爪をたてる。
「……っっ!」
爪でお腹を引っかいてしまい、赤いミミズ腫れが走った。
痛みに顔をしかめるネギであったが、それでも何とかスパッツを脱ごうと躍起になる。
嫌な汗をびっしりと浮かばせて、下半身にスパッツ一枚のままで苦しむネギ。
やがて、そんなネギを更なる悲劇が襲う。
「はぁ、はぁっ……」
息を切らしながらも悪戦苦闘するネギは多量に汗をかいた。
その汗がワイシャツに染み込み、どんどんと冷たくなっていく。