「……っ、そ、それ…じゃあ……、授業をはじ…始めます……」
言葉を途切れ途切れにしながらも、職務を実行しようと震える手で教科書を開くネギ。
黒板に文字を書くたびに、その小ぶりなおしりに突き刺さる視線。
スパッツに包まれて見えないはずのおしりの穴までまじまじと見られているような感覚に陥る。
そんな認識を覚えるたび、疼きが走った。
英文を読んでもらおうと、生徒を指名する。
「そ、それじゃあ…、四葉五月さん、七行目まで読んでください…っ」
──はい、と「」なしで答え、教科書を開いて席を立つ五月。
普段通りの物静かさに見えて一瞬ネギはほっとしたが、眼の光におののいた。
それは、獲物を狙うコアラの眼。鋭く光る眼光が、意外に凶暴なコアラの如く相対するネギの股間を射抜いていた。
「…あ、よ、読んでください。…皆さんも、ちゃんと英文を追って下さい、ね」
視線に気付かないふりをして、クラスへと呼びかけた。
(…こ、これで、音読し終わるまでは…休めるかな……)
そして教科書を閉じ、黒板にふらりと寄り掛かる。
ふうっ、と息をつき、脱力しようかと思った次の瞬間。
「先生、ちゃんといつもみたいに教室の中回ってよー」
ベリーショートに髪を切り揃えた少女、春日美空がつまらないと言いたげにぼやいた。
その言葉を皮切りに、教室中から沸き上がる声。
「そうアルね。私なんかネギ坊主が見てないと居眠りするアルよー」
ネギの中国拳法の師匠でもある古菲が、誇れないことを誇る。
同じように次々と自己申告していく生徒たち。寝てしまうと言い切った生徒の数は多い。
その姿を見てネギはがくりと肩を落とし、そして改めて思い知った。
3−Aは両極端が過ぎるクラスだということを。
「…っ……、あぅ、んっ! っあ!」
英文の音読に重なるように、ネギの嬌声が教室を満たしていく。
がくがくと脚を震わせながら、いつもの授業ではそうしているように教室内を歩き回った。
──いつもと違うのは、ネギがスパッツ一枚の半裸であるということ。
──そして、生徒たちが熱に浮かされたようにネギを辱めようとしていること。
机の間を歩くたびに、ネギに伸ばされる手、手、手。
スパッツに包まれたペニスの竿の部分をしごかれる。亀頭を撫でられる。陰嚢を揉みしだかれる。
おしりを鷲掴みにされ、乳首を捻じられ──。
無数の手で強制的に与えられる快楽に、ネギは既に前後不覚に陥っていた。
「ぁ…うぅ……」
生徒が読む英文の単語一語すらも、理解出来ない。
地についている感覚も無くなった脚で、それでも一歩一歩教室の中を歩いていく。
…だが、ついに足はもつれ、ふらりと一人の生徒の胸に倒れ込む形になってしまう。
むにゅっ──。
「あらあら?」
突如胸元に飛び込んできた担任に、那波千鶴は驚いて──さして動揺しているようには見えないが──声をあげた。
クラスNO.1の巨乳に顔を埋めたまま、はぁはぁと喘ぐネギ。
その様に沸き立つクラス一同。
しかし百戦錬磨の千鶴は動じた様子を見せない。
「ほらほら、夏美ちゃんもこっちに来て触ってみて?」
「え、いや私は……」
「──夏美ちゃん?」
「ヒィッ!?」
ゴゴゴゴゴ…という効果音と共に発するプレッシャーでルームメイトの村上夏美を威圧する。
諦めてとぼとぼと近づいてくる夏美に手を重ねると、ネギのおしりをゆっくりと撫であげた。
「ひゃうっ!?」
「……うわ、あったかい…。なんかしっとりしてるし」
「先生も喜んでるから、遠慮しなくていいのよ?」
「う、うん。頑張る」