だが。
――――むにゅ。
くしゃみをしようとした正にそのとき、横から伸びた手がネギの鼻をつまんだ。
「〜〜っ、んんッ〜〜!?」
今出ようとしていたくしゃみが直前で封じられる。
息が苦しくなったところで、ようやく手はどけられた。――もう、しばらくくしゃみは出そうにない。
驚愕にネギが手の来た方向を向くと、そこには恐らく、ネギのくしゃみに最も悩まされただろう少女。
「ふふん。そうはさせないわよ、ネギ」
神楽坂明日菜が腕を組んで立っていた。
「なっ、…あ、アスナさんまでーっ! 何でこんなことするんですかーっ!?」
ばたばた、と、押さえつけられた身体を必死にもがかせて叫ぶネギ。
その問いに明日菜は頭の上に疑問符を浮かべる。
「……あれ、…なんでだろう。……なんかさ、ネギをこうしたいなーって思って……。
このか、なんでかな。判る?」
明日菜が背後に控えるルームメイトの近衛木乃香に話を振るが、木乃香もふるふると首を横に振る。
「んーん、ウチもわからへん。…でもええんちゃうかなー? ネギ君かわええし」
「こっ、このかさんもですか〜!!」
「ほほほほ、そ、それでは…私が行かせていただきますわ…!」
羽交い絞めにされたネギの前にひざまづく、クラス委員長・雪広あやか。
ネギの股間にしゃぶりつかんばかりに顔を近づけてから、ゆっくりと顔を上げてネギと目を合わせる。
「い、いいんちょさん…、お願いですから止めて下さい……」
目尻に涙を溜めて訴えるが、その姿を見てあやかは余計に猛るだけであった。
「ああっ! ネギ先生が私に哀願なさっていらっしゃる……!
でもごめんなさい、ネギ先生。私はクラスの委員長。クラスの総意としてここにいるのです。
――ですから、ネギ先生のお言葉に従うことはできませんの……お許しになって…!」
そう告げ、湧き上がる涙に目を伏せるようにしながら――あやかは、ネギのトランクスを引き下ろした。
ぷるん――……。
まだ剥けきっていない、子供の性器が露わになる。
一瞬、息を呑むように静まりかえる教室。
だがそれも、所詮一瞬のことで。次の瞬間にはワッ――と嬌声に溢れかえる。
「ま、前に見たときよりおっきくなってへん?」
「ネギ君も成長してるってことねー、うんうん」
ネギの股間を指差してまじまじと見つめて狼狽する和泉亜子に、したり顔で頷く早乙女ハルナ。
(…先生、戦闘だけじゃなく……あそこもどんどん大人になってきているのか……)
就学旅行のときにはまだ完全につぼみだったはずのネギのペニスは、少しだけだが先を綻ばせていた。
それを直に手の中に収めた経験のある桜咲刹那は、痴態を遠巻きに眺めながら「ぎゅっ…」と左手を握り締めた。
「うわーんっ! 見ないで下さいーっ!!」
ぽろぽろと涙をこぼすネギだったが、次に浴びせられた一言に凍りつく。
「……あれー? でもさーネギ君、おちんちんおっきくしてる――♪」
笑顔で、何気なく。ただそこにあったから見つけたといった風情の椎名桜子の指摘。
ネギも含めた全員の視線が、ソコに向けられる。
ゆっくりと、だが確実に起き上がろうとしているペニスがそこにはあった。