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名無しさんの次レスにご期待下さい:
その瞬間。
がたたっ、と椅子から立ち上がる無数の音。
それまで一糸乱れぬ様子で机についていた生徒たちが一斉に立ち上がった。
「!! ……ど、どうしたんですか、皆さん……?」
生徒たちの目は、何か妖しい色をたたえている。
ぞくっ──、ネギの背筋に悪寒が走った。
それはいつも覚えのある、雪広あやかがネギに一歩進んだ大人のアプローチをかけてくるときに感じる危険よりも強く。
ショタコンでありながらネギへの気遣いを忘れないという愛欲とは相容れない、
ただ、蹂躙して凌辱しようという──獣欲だった。
じりじりと詰め寄る生徒たちに、教室の隅まで追い詰められるネギ。
壁に背が当たる。ふと窓を見たとき、何か「もや」のようなものがかかっていることに気が付いた。
──外が、まるで見えない。
魔力は感じない。これは何か、別種の力。
「こ、これは、一体──! 皆さん、落ち着いてくだ────ッッ!?
もはや、それを考える時間は与えられなかった。
ソレを行わせたのは、誰の声か。──それも、判らない。
ただ、一声の号令と共に無数の手が伸びてきた。
『それっ、やっちゃえ──!!』
「わあああぁぁああぁあっ!?」
傍目には、いつもネギが受けているようなスキンシップに見えなくもない。
だが、今日のそれは根源が違っていた。
生徒一人一人の目が、手が、哀れな被害者であるネギを──遠慮なしに犯していくのだ。
代わる代わる、まるで流れるように生徒が入れ替わり立ち替わる。
――まるで、何か一つの意思に統括されてでもいるかのように。
「さ、ネギ君。脱がせてあげる」
釘宮円が靴を脱がして放り投げ、靴下を丸めながら脱がしていく。
「ネギくーん、またお風呂入ってないでしょー。ちょっと臭うよー?」
佐々木まき絵が後ろから羽交い絞めにして、首筋に鼻を近づけながらベルトを外し、チャックを下ろす。
「とりゃー!!」
「お姉ちゃん、そんな引っ張ったらズボン破れちゃいますー!!」
鳴滝風香、鳴滝文香の双子が片足ずつスラックスの裾を掴み、一気に引き下ろした。
あっという間に上半身はスーツのまま、下半身はトランクス一枚という状態にされる。
「あうう、皆さん〜、こ、こんなことやめてください〜!!」
静止の言葉をかけてみるが、誰もそれを聞こうとはしない。
教室に来るときはさすがにいつもの杖を持って来るわけにもいかないので、いつも職員室に置いている。
それが災いするとは思いもしなかった。
もみくちゃにされながらも、どうにかしてこの状況を脱しなくてはいけないと思索をめぐらす。
――そのとき、いつもならばハプニングにしかならない、しかし今のこの状況ならば逆に一筋の光明になりそうな変化がネギに起きた。
鼻が、ムズムズする。くしゃみの前兆。
「ふ、ふぁ…………」
ネギには、くしゃみと同時に魔力が体内から微弱に放出される癖がある。
普段ならばそれは、近くにいる女子生徒のスカートをまくれさせたり服を脱がしたりすることしか出来ないのだが。
(こ、これで皆を少しでも怯ませることができれば…、その隙に……!)