☆魔法先生ネギま!☆213時間目

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 ネギの言葉に心を動かされ、高畑先生に告白することを決意した明日菜。しかしその前に、彼女はネギを相手に告白の練習をすると言い出したのだが……。
 
「あんた今から高畑先生ね」
「あ、あい」
 突然の舞台設定、そして明日菜の一方的な物言いに、戸惑いながらも返事をするネギ。
 思わず気をつけの姿勢で固まってしまうネギに、明日菜は向き合った。
 しかし。
 頭一つ背の低いネギを見下ろす明日菜。
 頭一つ背の高い明日菜を見上げるネギ。
「……」
「……」
 当然、実際に告白するとしたら、背の高い高畑先生のことだから明日菜の方が見上げなければいけないはず。
 結構細かいところまでシミュレートする気のようで、明日菜は少し考えたあと、ネギの体をひょいと持ち上げて、階段を一、二段昇らせた。
「あ…あの……」
 とここに来て、ネギはちょっと何か違うんじゃないかと思ったらしい。質問とも抗議ともつかぬあいまいな呼びかけ。
 しかし、明日菜はそんなネギをよそに、ツインテールにしてあるリボンに手をかける。
 ちりりん……。
 髪飾りの鈴の音と共にするっとリボンがほどけ、明日菜のつややかな朱色の髪が彼女の背中にかかる。
 窓から射し込む陽射しが、これまでの快活さ一本槍とは違う、彼女の別の一面を照らし出した。
「ふう……」
 と、明日菜はうつむき加減でため息のような深呼吸を一つ。
「あ……」
 目の前の明日菜の表情にネギは、はっとする。
 明日菜は顔をあげ、どこからか吹いてきた風に、腰まで伸びた髪を揺らしながら言った。
「好きです」
 ネギの胸の奥で、ドキンと甘い衝撃が一つ。
 明日菜は軽く握った両の拳を胸元に。頬を赤らめながらネギの目を真っ直ぐ見てもう一度。
「好きです。先生」
 祈るように両手を組みぐっと顔を近づける。
「ずっと前から……迷惑ですか」
「あ、いえ…でも……」
 思わず上体を反らしながら、意味の通じない言葉をつぶやくネギ。
 窓からの陽光に照らし出される明日菜の髪をおろした姿。それはさっきまでとうってかわって慎ましく、しとやかで、ネギに故郷の姉を思い出させた。
 と、そこで明日菜はくるっときれいなターンを決めると、目を伏せてうつむき、
「やっぱりダメですよね。私なんか……」
 と、わざわざ悲しげな声色を作って消え入りそうに言う。
「えうっ」
 明日菜の姿に、ネギは思わず明日菜の肩をぐっと掴んだ。
「そ、そんなこと……」 
 と振り向かせたまではよかったが、急な回転に明日菜が足をもつれさせてしまい、ネギの方へと倒れかかった。
48名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:23:24 ID:V+N01xbm0
「あ」
「…っと」
 その拍子に、二人の顔がお互いびっくりするほど近付いてしまう。
 相手の温かく湿った吐息がかかり、鼻先がもう少しで触れ合う距離。
 ネギはもとより明日菜まで、そのあまりに近すぎる位置に胸の鼓動が高まりつつあった。
「…………」
「あ、あの……」
「……」
「……」
 大きく目を見開きながら見詰め合っていた二人だが、やがて明日菜の目が愛しいものを見るように熱がこもりだした。
「この先の練習も……いい?」
「えっ……」
 ネギの返事もきかず、明日菜は彼の両頬に手をあてる。
 ゆっくりとまぶたをおろしながら、熱い声で囁くように言う。
「目を…閉じて……」
 素直に目を閉じるネギ。それを薄目を開けて確認した明日菜は、そのままネギの両頬を引っ張ろうとした。
 実は彼女、キスをする気などなく、ネギをからかうつもりでこの『練習』を言い出したのである。散々ひどい目にあったしかえしというわけだ。
 ところがその時、予想外のことが起こった。
 これまで明日菜に圧倒されっぱなしだったネギが、ぐっと顔を前に突き出したのである。
 突き出したといっても、実際は二、三センチかそこら。しかし二人の唇が触れ合うにはそれで充分だった。
 ネギの柔らかい唇の感触を受けて、思わず固まる明日案。
(え? え? ええ?)
 驚きと、後悔と、恥ずかしさと、そしてかすかな快感とが一斉に出てきて彼女を混乱させる。思わず大きく目を見開き、びっくりするほど近くにあるネギの顔をまじまじと見てしまう。
 しかし、ぎゅっと目をつぶって唇を押し付けてくるネギの顔を見ていると、不思議なことに怒りは湧いてこなかった。
(う、うわー……こんな子供とファーストキスしちゃった……。人を呪わば、ってやつね〜。でも今更ネギを怒るのも筋違いだし……このまま本当にキスの練習しちゃおう……)
 それは、突然のファーストキスで混乱した頭が生み出した、飛躍した考えだったかもしれない。
 ともあれ明日菜は、自らも目を閉じ、ネギのキスを受け入れた。
 男とはいえ、まだ幼いだけあってネギの唇は潤いに富んだなめらかさを持ち、唇を触れ合わせているだけでその体温と感触が心地よい。
 ネギとするだけでもこんなに気持ちがいいのだから、好きな高畑先生としたらどんなに素敵だろう。
 明日菜がそんなことを考えていると、彼女は上下の唇のちょうど合わさったところに、何か唇とは別のぬるぬるしたものが触れたのに気づいた。
49名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:24:00 ID:V+N01xbm0



 なんだろうと思っていると、そのぬるぬるとした暖かいものは唇を割り、軽く開いた前歯をするりと通って彼女の口の中に入ってきた。
(っ! これって、し、舌ぁ!?)
 びっくりしたが、既に前歯の奥に入っているものだから口を閉じるわけにもいかない。
 どうしようか焦っているうちに、舌はさらに奥へと入ってきて、明日菜の上あごや前歯の裏側をなぞりあげた。想像したこともなかったその感覚に、明日案の体がびくりと震える。
 ネギは顔を傾けながらさらに顔を寄せてくる。舌がさらに進み、ついに明日菜の舌を捕らえた。
 彼女の舌の先端に、小鳥がついばむようにちょんちょんと触れ、その形を確かめるようにゆっくりと全体を舐めまわし、最後には、とり込み一つになろうとするかのように絡ませる。
 ネギの唾液が舌を伝ってくるのがわかるが、明日菜は不思議と、それを汚いと思わなかった。ネギの舌が触れてくる部分から、神経を溶かすような、不思議な心地よさが伝わってくる。思いもよらぬディープキスの洗礼だが、明日菜はそれを受け入れていた。
 ややあって、二人はようやく唇を離した。
 明日菜は真っ赤な顔をしていて、呼吸をするたびに肩がわずかに上下している。緊張のあまり、キスの最中呼吸をするのを忘れていたのだ。
 ネギの方はというと、多少顔が上気しているものの、平然としているようだ。
「あの……」
「っ! あんたっ! どこでこんなキス覚えたのよ!」
 ネギの言葉を遮って、明日菜が大声を上げた。その剣幕に、ネギは思わずのけぞってしまう。
 ネギは後頭部に手をやりながら恥ずかしそうに答えた。
「いやあ……故郷で姉に……」
「あ、姉ぇ!?」
 今度は明日菜がのけぞる番だった。
「はい。実は僕、姉と二人暮らしなんです。それで、小さい頃から僕がさびしがっていると、姉がキスでなぐさめてくれたんです」
 明日菜は一粒汗を流しながら聞いていた。
(そりゃ白人とかって日本人より簡単にキスするみたいだけど、実の弟にあんなキス教えるなんてどんな姉弟よ……)

 とはいうものの、それを聞いて明日菜の中で、次第にネギに対する思いに変化が現れてきた。
 明日菜も両親がおらず、その寂しさはよく知っている。
 明日菜は再びネギに顔を近づけた。
「まあいいわ。練習の続きしましょう」
 そこには、『このままこんな子供にいいように翻弄されたままでは終われない』という勝気な笑みが顔をのぞかせている。
 今度は明日菜の方からネギに口付けた。
 さきほど自分がされたように、舌を伸ばしてネギの口の中をまさぐる。
 最初はおっかなびっくりな様子でそろそろと口の中のあちこちを舌先で舐めるだけだった。
 しかしそれによって、10歳の少年の口のサイズが思ったより小さいことに気づき、だんだんとその動きが大胆になっていく。
 最初、遠慮して明日菜にされるがままになっていたネギも、明日菜が次第に慣れてきたことに気づき、ネギの方からも舌を絡ませる。
 お互いに顔の角度を小刻みに変えながら、時に主導権を奪い合うように、時に共に協力してお互いの快感を高めあうかのように、二人は熱のこもったキスを続ける。
 唇から、舌から、時に勢い余ってぶつかりあう歯からすら、静かに熱い気持ちよさが流れ込み、明日菜の頭にはぼうっと霞がかかりはじめた。
 ちゅっ、くちゅ、っという単調な唾液のはじける音すらも、催眠術のように明日菜を溶かしていく。
 と、胸のあたりに何か感触。
 下目使いに見てみれば、ネギの右手の手のひらが、明日菜の発展途上の胸に押しつけられている。
50名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:24:49 ID:V+N01xbm0
 明日菜はちょっと眉を逆立ててキスを中止した。
「ちょっと……、胸まで触らせてあげるなんて言ってないわよエロガキ!」
 口調は強いが、目がとろんと溶けたままなのであまり恐くない。
「あ……すいません……やっぱり明日菜さんとキスしていると姉のこと思い出しちゃって……」
 と、こちらも夢うつつの表情で答える。
 一方明日菜は、ネギの言葉で少し『酔い』が醒めたようだ。頬をひきつらせながら言う。
「あんたね〜、そりゃイギリスの習慣なんて知らないけど、あんた、お姉ちゃんとナニしてたのよ」
「え?」
 目の前の少年の、あまり意味がわかっていない様子にあきれる明日菜。と、彼女はネギのスーツのズボンにある脹らみに気がついた。
「あ──っ! やっぱりエロガキじゃないこんなにして! 何なんにも知らないような顔してんのよっ!!」
「え?」
 ネギは相変わらず何がなんだかわからないといった顔で、明日菜の視線を追って自分の股間を見る。
「わあああああああああっ」
 突然のネギ大声に、明日菜は思わず耳をふさいだ。
「あわわわわわどどどどどうなってるんですか明日菜さんこれどうなってるんですかっ!?」
 両手をバタバタさせ、瞳をうるませながら、すがりつくような視線を明日菜に送るネギ。その様子に、演技の気配はまるで無い。
 明日菜はふうっとため息を一つすると、肩をすくめた。
「なに? ひょっとして、こうなったのはじめてなの?」
「は、はいいいいいいい。イギリスにいた時は一度も……やっぱり日本の食べ物が体に合わなかったんでしょうか」
「んなわけないでしょ。そりゃあたしだって詳しいわけじゃないけど、ごくありふれたものよ」
「そ、そうなんですか……。それじゃあほっとけば治りますよね」
 明日菜の説明を聞いて、ようやくネギは落ち付いたようだ。
 さて明日菜は、ネギのうつむいて股間を両手で抑えている様子を見て、少しおかしくなった。
 やたら大人びたことを言うかと思えばろくでもない失敗をするし、とんでもない特技を持っているかと思えばこういう年齢相応の表情も見せる。
 子供は嫌いと公言する明日菜だが、ネギのことを見ているうちに、不思議な暖かな感情が胸のうちに湧いてくる。
(母性本能……なのかな)
 心の中でつぶやきながら、明日菜はしゃがんだ。ちょうど、ネギの股間の高さに頭がくるように。
「こうして見ると窮屈そうだけど……元に戻してあげようか?」
 頬どころか顔中真っ赤にして言う明日菜。
 一方ネギはというと、明日菜の言葉の意味を理解していないせいか
「お、お願いします! ありがとうございます!」
 と無垢な喜びの表情を見せる。
「言っとくけど、うまくできるかどうかなんてわからないわよ。あたしだって柿崎に聞いただけなんだから……」
 半ば独り言のように言いながら、明日菜はネギのベルトに手をかけた。

「え? あ、ちょっと」
 慌てて明日菜の手を抑えようとするネギを振り払う。
51名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:25:36 ID:V+N01xbm0
「何してんのよ、外に出さなきゃできないでしょ」
 他人のベルトを外すというはじめての経験に多少てこずりながらも、明日菜はブリーフごとズボンを足首まで引きずり降ろす。
「ひゃっ」
 と甲高い声で短く悲鳴をあげるネギ。彼の股間には、明日菜の中指を一回り大きくした程度のペニスが元気にそそり立っていた。まだきれいに皮が先端を覆っている。
 明日菜は間近でそれを見てしまい、思わずごくりと唾を飲み込んでしまう。汗と小水の臭いがかすかに彼女の鼻腔を刺激する。
(ひえー。でも大きくなってもこれぐらいかぁ。やっぱりまだ子供ね……。高畑先生とうまくいけばいずれこういう場面も出てくるわけだし、これも練習の一つ……)
 明日菜は親指・人差し指・中指の三本でつまむようにネギのペニスを握る。表面は柔らかいが、心棒が入っているように奥の方に堅さが感じられる。彼女は、かついて友人が秘密めいた口調で言っていた通りに、ネギの幼い性器をしごきだした。
「あっ……」
 ネギが声をあげる。明日菜はそれをかわいい声だと思い、さらに大きく、強くペニスをしごいた。
「あっ、あっ、あっ、アスナさん、なんか、変な……なんか出ちゃいます、ああっ」
 拳を握りしめ、ぎゅっと目をつむり、懇願するように言うネギ。
 明日菜は慌てて、片手でしごくのを続けながら、もう片方の手でポケットからハンカチを取りだして肉棒の先端にあてがう。
 その刺激が決定打となったか、白い液体が勢いよく飛び出てハンカチに斑点をつけた。
「ああ……」
 切なげなネギの声。それと共に、ネギのペニスが風船がしぼむように、急速に小さくなっていく。

「ふう……」
 明日菜は、ネギのものが完全に元のサイズに戻るのを見届けると、文字通り一息ついた。
(うまくいったようね……。でもちょっと早過ぎてものたりないかも)
 とそこで、自分がいかにはしたないことを考えているかに気づき、明日菜は自分をごまかすために慌ててネギのズボンを引き上げる。
 精液のしみ込んだハンカチの処置に一瞬困ったが、さすがに自分のポケットに入れるのはためらわれ、たたんでネギの上着のポケットに押し込む。
「あ、アスナさん、ありがとうございました」
 ようやく我に帰ったネギのお礼に、明日菜は「ん」とだけ答えると、ネギのズボンのチャックをあげてベルトを閉めだした。
 ようやく頭が冷静になってきたが、よく考えたらとんでもないことをしてしまったと少し後悔が湧いてくる。
 その時。

 パシャ パシャ パシャ

 機械の作動音と共に、明日菜の背後、ネギの正面から短いが激しい連続した光。
「えっ……」
 振り向くとそこには、あるいは驚きの、あるいは好奇心に溢れた顔をした、クラスメートたち。
 彼女らから見れば、明日菜はネギのズボンを下ろそうとしているように見えたことだろう。
「あ……」
「う……」
 額に汗を浮かべる明日菜とネギ。明日菜は思わず立ち上がってネギを抱きかかえてしまっている。
52名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:26:26 ID:V+N01xbm0
クラスメートの中には委員長こと雪広あやかがおり、体と声を震わせながら言った。
「ア、アスナさんあなた……」
 そこでだだだっと階段を駆け下りて、明日菜の胸倉を引っ掴む。
「こ、こここんな小さな子を連れ出してあなたは一体何をやってたんですか──っ」
 あやかは涙目になっている。
「ち、ちが──」
「何が違うものですか。こ、こういうコトだけは絶対にしない方だと思ってましたのに」
「ご、誤解よ委員長」
 誤解でもなんでもないはずだが、明日菜も普段さんざんあやかのことをショタコンと馬鹿にしているし、それ以前に先生に手コキしたなんてことがばれたら退学モノだ。彼女も目に涙を浮かべるほど必死である。
「ほらあんた……じゃなくて先生からも何か言ってくださいよ」
 あやかの勢いに半ばかやの外だったネギは、突然自分にふられて「えうっ」と変な声を出した。
「言い逃れは見苦しいですわアスナさん!」
 さらにエキサイトするあやか。それと一緒になって、お祭り好きの鳴滝姉妹も盛り上がる。
「え……いや……」
 何と言っていいかわからず口ごもるネギ。
「ホラ先生早く!!」
 明日菜の声も一層、悲鳴がかってきた。
「その……」
 あまりの騒々しさに、とうとうネギの思考回路がパンクを起こした。
「きっ……き……記憶を失え〜〜〜っ!!」
「やめ───────い」

 明日菜のためにホレ薬を作ったネギだが、明日菜のせいでネギが薬を飲んでしまう。クラス中の女子に追い掛け回され、のどかに助けを求めるネギ。
 二人は図書室に逃げ込むが、のどかもまたホレ薬の効果を受けてしまう。アクシデントからネギを押し倒す姿勢になったのどかは……。




 のどかの声を聞き付けた明日菜は、すぐさま図書室に駆けつけた。
 さっき見せつけられたホレ薬の効果からすると、のどかもネギを追いまわすことになるだろう。ネギの方は別にそれで害はないだろうが、あとで正気に戻ったのどかが自分の行動を思い出した時どうなるか。
 あの性格だから、自分のはしたない行いをひどく気に病み、最悪それがトラウマになってしまうかもしれない。
 そんな不安が、ただでさえ人間離れした明日菜の足をいっそう速めるのだった。
 ついに図書室の入口にきた明日菜。何やら中から、物の崩れる音と二人分の悲鳴がかすかに聞こえる。
 慌ててドアノブを掴んで回すが、途中で止まってしまい、いつものカチャリという感触が無い。逆方向に回す。やはり駄目だ。
「げ、何よコレ。カギがかかってる」
 両手でドアノブを掴み、必死で左右に回転させるが、内側からかかったロックがそれで外れるわけもない。
 明日菜の額に汗が噴き出す。一体、二人は中でなにをやっているのだろうか?

「あ……あの宮崎さん………ど、どいてください〜〜……」
「は……はい……」
 こめかみから汗を流しつつ、ネギが遠慮がちに言う。
 ネギは本の山から崩れ落ちたのどかに、押し倒されたような体勢になっていた。
 普段、長い前髪のために隠れているのどかの顔の上半分が、この下から見上げる格好だとよく見える。
 さきほど一瞬だけ見せられた、汚れの無い可愛らしいのどかの素顔。それが朱に染まりつつ、ネギのことをじっと見つめている。
 熱があるような、半ば夢の中にいるような、ぼうっとした表情だが、目の焦点はピタリとネギに合っている。
53名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:27:17 ID:V+N01xbm0
(わわわ……こっちジーッと見てるよ──。これもホレ薬の効果なの──)
 はいと返事したにも関わらず、のどかはどくどころか逆に顔を寄せてくる。
 のどかはさらに顔を近づけるため、床に突っ張っていた右手のひじを曲げ、左手をネギの頭を抱えるように、彼の後頭部にまわした。
 のどかの顔がさらに近付き、その長い前髪がネギの額に触れた。
(わわわ)
 ネギは慌てて叫ぶ。
「み、宮崎さんダメですよ。先生と生徒がこういうことしちゃいけないってお姉ちゃんが……」
 のどかはそれを聞いて、ピタっと止まった。どこか虚ろな声で言う。
「は、はい……そうですね──…」
 ネギが安心したのも束の間、ほんの少しの間をあけて
「………ゴメンなさいです……」
 と再びネギの唇に迫った。
(言ってることとやってることがちがぁーう!?)
 その時、ネギの声にならない叫びに応えるように、

 ドッゴォォン!!

 大型ハンマーで大地を叩いたような、重い音が図書室中に響いた。ブックエンドがカタカタと揺れ、列の端に立っていた本が何冊か、ぱたりと倒れる。
 さすがにびっくりしたのか、ネギだけでなくのどかも音のした方──図書室の入口を見た。
 しかしそれで終わりだった。
 世界最大の蔵書数を誇る図書館島を持つこの学園は、書物を一冊たりとも失われてはならない重要な文化財として位置づけている。図書館島に比して質・量ともにはるかに劣るとはいえ、この図書室も大抵の災害に耐えられるよう頑丈に作られているのだ。
 ネギたちは知るよしもないが、扉の外では明日菜が右足を抱えて痛みをこらえるためにぴょんぴょん片足で跳ねまわっている。
(一体何が……)
 そうネギが思った時、彼の唇に、柔らかく、暖かいものが触れた。
 隙を見てついにネギの唇を奪ったのどかは、驚き慌てるネギを抑え付けたままキスを続ける。
 単なるキスに留まらず、舌を出して唇や前歯を舐めまわすという、とても普段ののどかからは想像できない扇情的なことまでやってのける。
 ホレ薬はただ相手に恋心を抱かせるだけではなく、性的に大胆に、積極的にする効果があるようだ。そうでなければ、そもそものどかが相手の制止を無視して口付けを強要するはずがない。
 ネギが何か言おうとした瞬間を狙い、のどかは舌を進めた。すぐさまネギの小さな舌を捕らえる。
 反射的に逃げようとするネギの舌を追って深く侵入し、舌同士をからませる。
 ちゅっちゅっと音を立ててネギの唾液を吸い飲んだかと思うと、とろとろと舌を伝わせてネギの口に自分の唾液を送りこむ。
 いつも本ばかり読んでいて世間知らずな印象のあるのどかだか、よく考えてみればベッドシーンが平気で出てくる一般小説など無数にあり、中にはそれを濃厚に描写している本もある。実践が伴っていないだけで、性に関する知識は実はクラスでも先頭集団を走っているのだ。
 清純そうな美少女と唾液の交換をするという快楽に、ネギは芽生えたばかりの性欲に溺れそうになる。
 しかし、性欲に首まで浸かったネギを引っ張りあげるように、姉の言葉が彼の頭に大きく鳴り響いた。
『先生と生徒がそういう関係になっちゃいけませんよ』
 最愛の姉の言葉に必死でしがみつき、理性を総動員して暴れるネギ。
 しかし、四六時中大量の本を持ち歩いているのどかは意外に力が強く、簡単に押さえ込まれてしまう。魔法を使って筋力を強化することもできるが、ネギ自身が未熟なためうまく制御できず、のどかを怪我させてしまう恐れがあるためそれはできない。
 それでもバタバタともがいていると、急にのどかの力が抜けた。
 見れば、のどかは体を起こしてネギを抑え付けるのを止め、散乱した本の中、正座を崩したようないわゆる『女の子座り』で座っている。
 突然のことに眉を潜めながらネギは上体を起こす。
(ホレ薬の効果が切れたのかな……)
 確かめるために表情を見たかったが、前髪で目の辺りはすっぽり隠れてしまって何もうかがえない。
54名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:27:49 ID:V+N01xbm0
 その前髪の奥からつうっと一粒の涙のしずくが頬を伝った。
 それをきっかけとするかのように、あとからあとから大粒の涙がのどかの頬を濡らしだした。
「み、宮崎さん!?」
 狼狽するネギに、のどかは涙に濡れた声で言った。
「ごめんなさい先生……ごめんなさい……」
「あ、あの……」
 のどかの突然の変わりぶりに、ネギは冷や汗を流した。とにかく、宮崎さんの涙を止めなければ、と思った。教師としてではなく、一人の男としてそう思った。しかし一体何が原因で泣いているのかわからない。
 のどかは続けた。
「ごめんなさい……わたし、ネギ先生の気持ち無視してました…………ごめんなさい……ごめんなさい…ごめんなさい……いくら私が先生を好きでも……先生にキスしたくても……先生が嫌がるキスは…全然気持ちよくありませんでした……ごめんなさい……」
 そこまで言って、のどかは大きくしゃくりあげた。上を向いた一瞬、前髪せつなく踊り、涙に溢れた瞳が見える。
「でも……先生、嫌いにならないでください……嫌いにならないで……ごめんなさい……嫌いにならないで……嫌いに…………ごめんなさい、ごめんなさい……でも嫌いにならないで……」
 つぶやくように、ささやくように、最後にはほとんど聞こえないほど小さくなるのどかの言葉。
 ネギは起きあがり、のどかを渾身の力で抱きしめた。
「……えっ…」
「宮崎さんっ! 僕は宮崎さんを絶対に嫌ったりしませんっ!!」
 ネギの頭あったのは、のどかを一瞬でもはやく泣き止ませたい、ただそれだけだった。
 のどかが目の前で泣いている。それは姉の言葉、教師としての立場を一撃で消しとばすほど辛い事だった。
 一体、のどかの涙を止めるのに一番いい方法はなんだろうか?
 思い付いた瞬間、ネギは躊躇なく実行する。
 のどかの首に手をまわし、その唇に、溢れる気持ちの全てをこめて口付けをした。前髪の奥で、閉じられていたのどかの瞳が、大きく開かれた。

 静寂。
 広い図書室に、物音を立てるもの一つ無い。
 ネギとのどかが唇を交わす間、本の紙が湿気を吸って脹らむ音すら聞こえてきそうな静けさ。
 その無音の時は、のどかの顔を濡らす涙が乾ききるまで続いた。
 舌も使わずに、くっつけるだけのキスを交わしながら、至近距離で見詰め合う二人。
 やがて、のどかの手がおずおずとネギのネクタイに触れた。
 それに応えて、ネギものどかのネクタイに手をかける。
 あらかじめ練習していたかのように、同時に相手のネクタイをほどいた。
 そのようにして、キスを続けながらお互いに上着の前ボタンを外す。
 上着を脱がす。
 Yシャツのボタンを外す。
 Yシャツを脱がす。
 アンダーウェアを脱ぐ時はさすがにキスは中断したが、脱いだ後に再び口付けする。
 ネギがブラを外す間、のどかはベルトを外す。
 膝立ちになる。
 スカートとズボンのホックを外す。
 体を支え合いながら立ちあがり、下着を落として足を抜く。
 相手の服を脱がす仕草の一つ一つに、愛しさが満ちている。
 そのまま、キスを続けながら全裸で二人は抱き合った。
55名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:28:50 ID:V+N01xbm0
 わざわざ相手の体をまさぐる必要もなく、むきだしの肌を重ねているだけでこの世のものとは思えない心地よさがあった。先ほどの激しいディープキスにあった、全身を駆け巡るような強い快楽が無い代わりに、相手が自分と一緒に居てくれるという柔らかい喜びを感じた。
 しかしネギも幼いとはいえ男、性欲を刺激されないわけがない。
 サイズこそ小さいものの、充分な硬度で肉棒が立ちあがり、のどかの白く柔らかな太ももに当たる。 
 その暖かな体温を敏感な先端に感じて、ネギは「うっ」とうめき声をあげ、切ないく眉を寄せる。
 のどかの方から唇を離し、静かに言った。
「先生、もう一つ私のわがままを許してくれますか」
「僕はまだ一度も宮崎さんにわがままを感じていませんし。今もそうです」
 ネギはそういうと、いったんしゃがんでから、自分の着ていたスーツを図書室の床に広げ、即席のシートとした。
 もちろんネギ用なのでサイズが足りず、のどかが自分の制服を使って面積を増す。

 二人して準備を終えると、のどかがシート代わりのスーツに腰を降ろした。
 体育座りの姿勢から、徐々に足を離していくのどか。全身が羞恥で真っ赤にそまっており、ネギの顔を正視できないのかあさっての方向を向いている。
 図書室の抑えられてた照明の下、のどかの裸体があますところなく露わになる。
 胸や腰の発育はまだまだだし、薄い色の性器を飾る毛も芽生えはじめたばかりだ。しかし雪のように白くしみ一つ無い肌、肉付きの薄いきゃしゃな体格は、色気に欠けるものの妖精のような一種神秘的な美しさがある。
 闇に浮かぶ真珠のようなその肢体にネギは言葉もなくみとれた。
「先生……」
 と、催促とも抗議とも取れるのどかの声にはっとネギは我にかえった。
 のどかの開いた両足の間にひざをつく。のどかはそれを受けて、上半身を倒して仰向けに寝そべった。前髪がはねあがり、露わになった目元は羞恥とわずかな期待をのぞかせている。
 ネギはいったんのどかの頭の両脇に手をつき、そこで一つ深呼吸した後、腰を前に進めた。
 性体験はもちろん、それに関する知識すらろくにない年齢のネギだ。いきなり入るわけもない。しかし、顔だけ起こしたのどかが右手をネギのペニスに添え、左手で自分の割れ目を軽く広げ、誘導する。
 ついに、ネギの先がのどかの入り口に触れた。
「「ああっ」」
 それぞれ感じやすい部分に刺激を受けて、同時に声をあげる。
 一呼吸置いて、ネギは腰をさらに前に。
「っ痛」
 っとのどかが顔をしかめる。
「宮崎さんっ」
 思わず腰を引こうとするネギを、のどかは両手で彼の腰を抱くようにして止めた。目尻に涙をのぞかせながら、
「大丈夫です。想像していたより痛くない……」
 と言った。ネギのものはサイズもだいぶ小さいし、決して強がりというわけでもないだろう。
 のどかは両手をネギの背中に回し、抱き寄せた。ネギはそれに応じてのどかの上に覆い被さり、再び固く抱き合いながらキスをする。
 今度は軽く舌先を触れあわせる程度に深いキスを交わしながら、ネギは小刻みに、くっくっくっと腰を動かす。
 ネギの呼吸が次第に荒くなり、間もなく「うっ」といううめき声を発して、ぐったりとのどかに体重をあずけた。
 ネギの重さと、体の奥の熱を感じながら、のどかは柔らかく微笑みを浮かべた。
56名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:30:29 ID:V+N01xbm0
 しばらくして、性交の余韻から抜け出した二人は、破瓜の出血と精液をティッシュで拭うと、いそいそと服を着だした。
 不思議なもので、さきほどまで裸で抱き合っていたにも関わらず、のどかはどこか恥ずかしそうに、ネギと視線を合わせようとしない。しかし、それでいてときどき、ちらっちらっと、ネギの方を盗み見るように見ている。
 ネギの方もそれに釣られてなんだか照れくさく、服を着るのに専念しようとした。しかしやはりのどかの方を見てしまう。
 時々、のどかがネギを見るタイミングとネギがのどかを見るタイミングが一致して、目があってしまうことがある。そんな時はじっと見つめあったあと、顔を赤らめて視線を外すのだった。
 すっかり服を着終わって、さあそろそろ外の様子を見てみようかと二人が扉へ近付いた瞬間。

 ドゴォン!

 ここでほんの数分、時間をさかのぼり、場所を図書室の外に移す。
 外から施錠を解くこともできず、得意のキックでも破れない扉を前に、明日菜は進退極まっていた。
 ネギの魔法が秘密である以上、事情を説明できないので図書室のキーを借りたり、誰かに力を貸してもらうこともできない。
 えんえんとどうしようか悩み続けていた明日菜。しかし中ののどか達が心配で、いてもたってもいられず、無駄とわかっていてもドアノブをガチャガチャやる。
 すると、さっきまではピクリとも動かなかった扉が、ほんの数ミリではあるが前後することがわかった。
 思い付いてちょうつがいを調べてみると、先ほどの蹴りの衝撃で少し緩んでいる。
 それを知った明日菜の行動は、バカレッドの異名に相応しいものと言えよう。

 ドゴォン! ドゴォン! ドゴォン! ドゴォン! ドゴォン! ドゴォン!

 足をかばって多少加減してあるが、それでも充分に強力な蹴り。一撃ごとに、ちょうつがいが震え、少しずつ歪みが大きくなっているのがわかる。

 ドゴォン!
 
 衝撃音と共に、『ギリィ』という、金属の断末魔がかすかに聞こえた。
 行けると判断した明日菜は、軸足を踏みしめ、ぎゅるっと猛スピードで体を回転させ、パンツが丸出しになるのも構わず、こんな面倒なことの原因になったネギへの怒りを込め、力学的エネルギーを詰め込めるだけ詰め込んだ回し蹴りを図書室の扉に叩き付けた。
「こーのネギ坊主……何をやっとるか───ッ!!」

 バキィッ!
 ちょうつがいがはじけとび、観音開きの大きな扉が宙を待った。
「わ──っ」
「あうっ」
 ネギとのどかの悲鳴にはっと我にかえった明日菜。ネギが四つん這いで涙目になりながら
「ア、アスナさん!! あ、あぶないです」
 と抗議している。その向こうでは、蹴り飛ばされた扉が当たったのか、のどかが目を回していた。
「あ、本屋ちゃん! ……じゃなくて宮崎さんまで。ゴ、ゴメン」
 慌てて明日菜はのどかのもとへ駆け寄り、気絶している彼女を抱きかかえる。
 そしてじろっとネギの方を睨んで言った。
「全く……世話がやけるわね!」
「あ、ありがとうございますアスナさん!」
 とここでネギは、明日菜が気づかないほど短い一瞬、言葉に詰まる。
 よく考えたら明日菜には何一つ助けられていないのである。
 しかし図書室で何があったか正直に言えば、明日菜がどんな反応をするのか手に取るようにわかる。まして、あの頑丈な扉を破る蹴りを見せられた直後とあっては……。
 ネギは一瞬でそこまで考えて、言葉を続けた。
「助かりました……」
57名無しさんの次レスにご期待下さい:2007/09/02(日) 09:38:06 ID:V+N01xbm0
 大浴場へとやってきたネギと明日菜だが、そこにクラスメートたちが何人も入ってきてしまう。見つからないよう隠れる二人。
 それに気づかず、あやかの発言をきっかけにクラスメートたちは、胸の大きい人がネギと一緒の部屋になるべきだという話をする。その隙に逃げだそうとした明日菜とネギだが……。

「まったく脳天気な連中ね、ウチのクラスの奴らは。ほら、今のうちに逃げるわよ、ネギ!」
「えっ」
 胸談義に熱中しているクラスメートたちを見て、明日菜は湯船からあがった。
 静かにしなければいけないはずだが、よほど焦っているのか、ザパッと水飛沫が跳ねる。
 ところが何故逃げるのか分からない様子のネギ。明日菜が自分を呼んだことでようやく彼女について行かなければと気づき、慌てて後を追い、湯船から出る。
「あ、待って……」
 ネギがを待つのももどかしく、すぐさま走りだそうとする明日菜。ネギも大慌てで駆け出そうとする。
 その時、明日菜の地面を蹴ろうとしていた足に、踏み出したネギの足がガッと絡んだ。
「ぶ」
 変な悲鳴だか叫び声だかをあげながら、ビターンと派手な音を立てて床に仲良く転んでしまう。
「え……」
 それまでハルナと話していたあやかだが、さすがに物音に気づき、後ろを振り向いた。彼女が見たものは。
 タオルを腰に巻きつけただけの全裸のネギ。
 そしてそこに襲いかかるように四つん這いになって覆い被さろうとする水着姿の明日菜。
 明日菜が「あたた」とつぶやいていることも、ネギが頭を抑えてうめいていることも頭に入らない。
「ア…アスナさん!? なっ…全裸のネネネネギ先生を押し倒して何を─!?」
 驚きにちょっぴり羨望がトッピングされたあやかの大声に、他の者も二人に気づいた。
「あ─ッネギ先生─!?」
「ネギ君だ!!」
 自分の行動が思いっきり裏目に出たことに、明日菜は心の中で(うわちゃ……)と後悔の溜息をつく。
 しかしそのままでいるわけにもいかない。
 明日菜は四つん這いの姿勢から身を起こすと、笑顔をつくってあやかの方を向き、事情を説明しようとする。
「い、いやこれは……あのねいいんちょ」
 がしかし、そんなものを聞くような精神状態のあやかではない。
 ズギャーっと明日菜につめより、水着の胸元を引き裂かんばかりの勢いで掴んでまくしたてる。
「か、仮にも担任の教師に対してこんなフラチな行為に及んで!! 年端のいかないのをいーことにー」
「ご、誤解よいいんちょ!!」
「やはりあなたのような人の部屋に預けては、ネギ先生が危険過ぎます!!」
 片手を腰にあけ、仁王立ちになって言うあやか。誰かが「いいんちょのところに預ける方がよっぽど危ない」と茶化したが、あやかは聞こえないふりをしている。
「じゃあやっぱり胸の大きさでネギ先生の部屋を決めるの?」
 ハルナの問いに、あやかは冷や汗を顔に浮かべ、「うっ」と言葉に詰まった。顎に手をやって少し考えて、言う。
「いえ、やはり胸の大きさだけで決めるのは単純過ぎます。そう、最もネギ先生を喜ばせられる胸の持ち主、ということでどうでしょうか」
 あやかの言葉に、その場にいた女の子たちは一斉に、それぞれの友人たちと顔を見合わせた。
 明日菜とネギはというと、展開について行けず、口をあんぐりと開けたまま、風呂の床にへたりこんでいる。
 ややあって、当惑の多かった女の子たちのざわめきが、次第に一つの方向にまとまっていく。
「つまり……先生を胸でよろこばせればいいってこと?」
「それなら大きさ以外の要素も重要ね」
「じゃあ私たちにも勝ち目があるってことか」
 すると、皆の見える位置に朝倉が飛び出してきた。
「よーし、じゃあここからは報道部突撃班の私が仕切りましょう。ついでに賭けの胴元も任せなさい!」
 とウインクをしながら見栄をきる。
 さすがというべきか、イベント好きの2−Aのメンバー、朝倉の登場に一斉に拍手をした。
「やっぱり食券賭けるのー?」
 とやたら楽しげな桜子の声。
「参加しないやつらもいるだろうから、そいつらも楽しめるようにね。それじゃ、エントリーするやつ手を挙げろー!」
 朝倉の呼びかけに、あやかをはじめとして早速何人かの手が上がる。