☆魔法先生ネギま!☆213時間目

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 ネギはというと、さきほどまで膨張しきっていたペニスが小さくなり、のどかの体の上でやはりぐったりとしている。
 のどかの絶頂と時を同じくして、彼もまた達してしまったのだ。
 浴場内は一瞬だけ静まりかえったあと、爆発するようなギャラリーたちの歓声で満たされた。
 ネギとのどかを囲む輪の中からハルナと夕映が駆け出してきて、いまだ脱力したままののどかを助け起こす。
「のどか、よく頑張りましたね」
「感動したよ〜っ!」
 二人の親友に助け起こされたのどかは、少し恥じらいながらもにっこりと笑った。
「ネギ先生、本日二度目の放出だぁぁぁぁ! しかもその相手は、出場自体が無謀と思われていた宮崎選手でした。わかりません。勝負の行方がまったくわからなくなって参りましたー!!」
 今まで押さえていた分を取り返すように溌剌とした声の朝倉。番狂わせが生じる可能性が出てきたことで、賭けの胴元として熱狂が押さえられないらしい。
「盛りあがる一方の大会、そして次も優秀候補の一角です。五番手、長瀬楓選手どうぞ〜〜〜っ!」
 出場者の列の中から、一際背の高い楓がネギに向かって歩き出した。
 全身が緊張の固まりだったのどかと比べ、なんの気負いもなく実に堂々と、悠々とした足取りだ。
 楓は歩きながらバスタオルを外し、軽く小脇に抱えた。
 モデルのような長身もそうだが、はじけるようなその巨乳はまさに圧巻の一言である。
 笑っているような、寝ているような、感情の掴めないのんびりした表情に、上下動のほとんどない不思議な歩法、そしてグラビアアイドル顔負けのスタイルと、様々な意味で楓は多くの人が言うようにとても中学生とは思えない。

 楓はネギの前までくると、タオルを脇に置いて正座した。
 体を起こしたネギの両脇の下に手を入れたかと思うと、その体を軽々と持ち上げる。
 空中で、いわゆるお姫様だっこの形に抱きかえると、自分の腿の上にネギの尻をひょいっと乗せ、横抱きの形にする。
 ちょうど自分の左胸の高さにあるネギの頭を手で押さえ、その大きな乳房に軽く押し付けた。
 そのまま、何もしない。
 あやかのようにぎゅうぎゅうと押しつけてくるわけでもないが、それではのどかのように好きに触れということなのだろうか。
 ネギは楓の顔を見上げたが、その糸のように細い目をした顔は相変わらず微笑みを浮かべているだけで、何も読み取れなかった。
「……」
「……」
 楓は無言。よってネギも無言。
 仕方ないので、ネギはそのままじっとしている。
 じっと楓の体に体重を預けている。
 すると、その分厚い胸の脂肪を通して、音が聞こえてきた。
 トクン。トクン。トクン。トクン。
 一定のリズムを保つ、楓の心臓の鼓動音。
 小さく深いそのリズムに、ネギは何故か聞き覚えがある気がした。
 遠い昔、聞いたことが、確かにある。
 それは、世界で最も安心できる場所の音だった。
 ネギは楓の心臓の音に誘われるように目を閉じ、その豊かな胸に頭を預けた。
 離れて見ればそれは、母親が幼い我が子を抱き、寝かし付けているように見えた。
 誰一人声を出さず、音も立てず、静かに時が流れ、やがて時間切れとなった。
 その瞬間、クラスメートたちの口から大浴場を一杯にする大歓声と、百の花火をいっぺんに点火したような猛烈な拍手が沸き起こった。
「こ、これは盲点だぁーっ! 『ネギ先生を胸で喜ばせる』という課題から、出場者はもちろんギャラリーすらも、ネギ先生を興奮させる方向にしか発想が向かいませんでしたが、楓選手はまったく逆のアプローチを仕掛けましたっ!」
 歓声と拍手に負けじと朝倉も声を張り上げる。
「考えてみれば、授業に疲れて部屋に帰ってきた先生にとって最良のルームメイトとは、その疲れを癒してくれる相手なのかもしれません。やはり胸が大きい=母性的ということなのかぁーっ! 五人終わって現在楓選手が最有力優勝候補だぁ!」

 飛び交う賭け札の石鹸をあわただしく並べながらの朝倉の言葉に、ふとネギは我にかえった。
 つい5人の少女たちの体に夢中になってしまったが、やはり彼としては明日菜と一緒の部屋がよかった。
 明日菜が前の出場者たちと同様、ネギの相手をしてくれれば明日菜を優勝させることができるが……。
 ネギが明日菜を見ると、彼女はその瞳にありありと軽蔑の色を込めてネギを見ている。
「それではいよいよ最後の選手です。神楽坂明日菜選手、どうぞー」
 朝倉の声に、明日菜は微動だにしない。むすっと不機嫌な顔をしたまま、腕を組んで睨むようにネギを見ている。
 その明日菜にあやかが挑発的な声をかける。