「ん〜? ネギ坊主はまだ夢の中アルか?」
クーの言葉に、ネギは頭を振り振り身を起こした。もっとも、その目はまだ完全に正気を取り戻してはいないようだ。
クーは膝を追ってネギの前に座ると、彼の胸についた白濁液を指でつついた。
「ほらほら、このままにしていたらバッチイアルよ」
言いながら、ネギの薄い色の乳首に塗り込むようになすりつける。
「あ……」
その白い液の正体に恥ずかしさを覚え、また、乳首にくすぐったさと快感の入り混じる奇妙な感じを覚え、ネギは顔を赤くした。
「ワタシが洗ってあげるアル」
クーはそこで、胸から下を覆っていたバスタオルの前を開いた。前二人の白い肌とは違う、褐色の素肌が露わになった。
ガラスのような繊細な美には欠けるが、真夏の太陽を思わせる陽気でエキゾチックな美しさがある。
胸は柿崎よりも幾分か小さく、手足にはうっすらと筋肉の影が浮き出している。妖艶な色気や可憐な清純さとは縁の無い体つきだか、エネルギーを秘めた明るく健康的な肢体である。
クーは片手の石鹸に、近くの湯船から手ですくったお湯をかけ、それで自分の体の全面を軽くこすりだした。
たちまちのうちに、クーの胸の辺りが石鹸の泡で覆い尽くされる。真っ白な石鹸の泡と、その向こうにかいま見える褐色の肌が鮮やかなコントラストを作り出している。
「あれ、洗ってくれるって……」
ネギが軽く首をひねると、クーはニッと笑い、ネギに抱き付き、押し倒した。
「うわあ」
「ほら、おとなしくするアル」
驚いて手足をばたつかせるネギをうまく押さえ込みながら、クーは石鹸にまみれた自分の胸をネギの胸に押し付けた。
さらに両手をネギの背中に回し、クーの可愛らしい形をした胸が柔軟に潰れるまで、強く体を密着させる。
その状態から、軽く上下に体を動かす。
「あ……」
すぐさま甘い声を出してしまうネギ。クーは少しいたずらっぽい目をしながら、自分の胸でネギの胸をマッサージするように洗い出す。
「くーふぇ選手、柿崎選手にまけじとこれまた大胆な技を繰り出しました〜! これはわからなくなってきたかぁ!?」
しばらくそうやった後、今度はネギの体をぐるっと九十度回転させ、右の脇腹を胸のふくらみで愛撫する。
それが終わると背中。
それが終わると左の脇腹。
それが終わると、体をしゅっと下の方にずらし、右足を抱えるようにして胸で洗い出した。同じように左足もそうやって洗う。
スポンジよりずっとやわらかいもので全身をこすられる気持ちよさに、ネギの呼吸もだんたんと激しくなり、一度発射して萎えていたペニスも再び勢いを取り戻す。
が、しかし。
「はい時間で〜す。くーふぇ選手そこまで!」
「あちゃ〜」
クーは朝倉の方を向くと、ばつの悪い笑顔で頭に手をやった。
そして、近くにあった洗面器で湯船のお湯を汲み、自分の体中についた泡を洗い流す。
次いでもう一度お湯を汲むと、同じく全身泡だらけになったネギの体を手を引っ張って起こし、頭からザバーっとお湯をかける。
「ほい、これできれいになったアルね」
そう言うと、クーは軽い足取りで去っていった。
「射精には至らなかったくーふぇ選手ですが、柿崎選手によってネギ先生が一度出した直後ということを考えれば、再び先生のものを元気にさせただけでも評価できるでしょうか? そして次は今大会最大のダークホース、宮崎のどか選手の登場です!」
一呼吸置いて、出場者の列からのどかは前に踏み出した。
両手は固く拳を作っており、バスタオルの裾から伸びる線の細い足は傍目にわかるほど震えている。
関節が錆び付いたようにぎこちない足取りでネギの方へ向かうと、自然とその緊張が伝染したか、ギャラリーたちも息を飲んで静かに見守った。
ネギの前に立つのどか。
しかしそこで固まってしまい、何もできない。
未だ頭からクーにぶっかけられたお湯をぽたぽたと垂らしているネギも、どうしていいかわからず困惑顔だ。
「……のどか、がんばって」
ギャラリーから、小さく声が聞こえる。励ましというよりは、祈りのような声。
それに押されるように、のどかはバスタオルの結び目に指をかけた。