☆魔法先生ネギま!☆213時間目

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 大浴場へとやってきたネギと明日菜だが、そこにクラスメートたちが何人も入ってきてしまう。見つからないよう隠れる二人。
 それに気づかず、あやかの発言をきっかけにクラスメートたちは、胸の大きい人がネギと一緒の部屋になるべきだという話をする。その隙に逃げだそうとした明日菜とネギだが……。

「まったく脳天気な連中ね、ウチのクラスの奴らは。ほら、今のうちに逃げるわよ、ネギ!」
「えっ」
 胸談義に熱中しているクラスメートたちを見て、明日菜は湯船からあがった。
 静かにしなければいけないはずだが、よほど焦っているのか、ザパッと水飛沫が跳ねる。
 ところが何故逃げるのか分からない様子のネギ。明日菜が自分を呼んだことでようやく彼女について行かなければと気づき、慌てて後を追い、湯船から出る。
「あ、待って……」
 ネギがを待つのももどかしく、すぐさま走りだそうとする明日菜。ネギも大慌てで駆け出そうとする。
 その時、明日菜の地面を蹴ろうとしていた足に、踏み出したネギの足がガッと絡んだ。
「ぶ」
 変な悲鳴だか叫び声だかをあげながら、ビターンと派手な音を立てて床に仲良く転んでしまう。
「え……」
 それまでハルナと話していたあやかだが、さすがに物音に気づき、後ろを振り向いた。彼女が見たものは。
 タオルを腰に巻きつけただけの全裸のネギ。
 そしてそこに襲いかかるように四つん這いになって覆い被さろうとする水着姿の明日菜。
 明日菜が「あたた」とつぶやいていることも、ネギが頭を抑えてうめいていることも頭に入らない。
「ア…アスナさん!? なっ…全裸のネネネネギ先生を押し倒して何を─!?」
 驚きにちょっぴり羨望がトッピングされたあやかの大声に、他の者も二人に気づいた。
「あ─ッネギ先生─!?」
「ネギ君だ!!」
 自分の行動が思いっきり裏目に出たことに、明日菜は心の中で(うわちゃ……)と後悔の溜息をつく。
 しかしそのままでいるわけにもいかない。
 明日菜は四つん這いの姿勢から身を起こすと、笑顔をつくってあやかの方を向き、事情を説明しようとする。
「い、いやこれは……あのねいいんちょ」
 がしかし、そんなものを聞くような精神状態のあやかではない。
 ズギャーっと明日菜につめより、水着の胸元を引き裂かんばかりの勢いで掴んでまくしたてる。
「か、仮にも担任の教師に対してこんなフラチな行為に及んで!! 年端のいかないのをいーことにー」
「ご、誤解よいいんちょ!!」
「やはりあなたのような人の部屋に預けては、ネギ先生が危険過ぎます!!」
 片手を腰にあけ、仁王立ちになって言うあやか。誰かが「いいんちょのところに預ける方がよっぽど危ない」と茶化したが、あやかは聞こえないふりをしている。
「じゃあやっぱり胸の大きさでネギ先生の部屋を決めるの?」
 ハルナの問いに、あやかは冷や汗を顔に浮かべ、「うっ」と言葉に詰まった。顎に手をやって少し考えて、言う。
「いえ、やはり胸の大きさだけで決めるのは単純過ぎます。そう、最もネギ先生を喜ばせられる胸の持ち主、ということでどうでしょうか」
 あやかの言葉に、その場にいた女の子たちは一斉に、それぞれの友人たちと顔を見合わせた。
 明日菜とネギはというと、展開について行けず、口をあんぐりと開けたまま、風呂の床にへたりこんでいる。
 ややあって、当惑の多かった女の子たちのざわめきが、次第に一つの方向にまとまっていく。
「つまり……先生を胸でよろこばせればいいってこと?」
「それなら大きさ以外の要素も重要ね」
「じゃあ私たちにも勝ち目があるってことか」
 すると、皆の見える位置に朝倉が飛び出してきた。
「よーし、じゃあここからは報道部突撃班の私が仕切りましょう。ついでに賭けの胴元も任せなさい!」
 とウインクをしながら見栄をきる。
 さすがというべきか、イベント好きの2−Aのメンバー、朝倉の登場に一斉に拍手をした。
「やっぱり食券賭けるのー?」
 とやたら楽しげな桜子の声。
「参加しないやつらもいるだろうから、そいつらも楽しめるようにね。それじゃ、エントリーするやつ手を挙げろー!」
 朝倉の呼びかけに、あやかをはじめとして早速何人かの手が上がる。