☆魔法先生ネギま!☆213時間目

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 しばらくして、性交の余韻から抜け出した二人は、破瓜の出血と精液をティッシュで拭うと、いそいそと服を着だした。
 不思議なもので、さきほどまで裸で抱き合っていたにも関わらず、のどかはどこか恥ずかしそうに、ネギと視線を合わせようとしない。しかし、それでいてときどき、ちらっちらっと、ネギの方を盗み見るように見ている。
 ネギの方もそれに釣られてなんだか照れくさく、服を着るのに専念しようとした。しかしやはりのどかの方を見てしまう。
 時々、のどかがネギを見るタイミングとネギがのどかを見るタイミングが一致して、目があってしまうことがある。そんな時はじっと見つめあったあと、顔を赤らめて視線を外すのだった。
 すっかり服を着終わって、さあそろそろ外の様子を見てみようかと二人が扉へ近付いた瞬間。

 ドゴォン!

 ここでほんの数分、時間をさかのぼり、場所を図書室の外に移す。
 外から施錠を解くこともできず、得意のキックでも破れない扉を前に、明日菜は進退極まっていた。
 ネギの魔法が秘密である以上、事情を説明できないので図書室のキーを借りたり、誰かに力を貸してもらうこともできない。
 えんえんとどうしようか悩み続けていた明日菜。しかし中ののどか達が心配で、いてもたってもいられず、無駄とわかっていてもドアノブをガチャガチャやる。
 すると、さっきまではピクリとも動かなかった扉が、ほんの数ミリではあるが前後することがわかった。
 思い付いてちょうつがいを調べてみると、先ほどの蹴りの衝撃で少し緩んでいる。
 それを知った明日菜の行動は、バカレッドの異名に相応しいものと言えよう。

 ドゴォン! ドゴォン! ドゴォン! ドゴォン! ドゴォン! ドゴォン!

 足をかばって多少加減してあるが、それでも充分に強力な蹴り。一撃ごとに、ちょうつがいが震え、少しずつ歪みが大きくなっているのがわかる。

 ドゴォン!
 
 衝撃音と共に、『ギリィ』という、金属の断末魔がかすかに聞こえた。
 行けると判断した明日菜は、軸足を踏みしめ、ぎゅるっと猛スピードで体を回転させ、パンツが丸出しになるのも構わず、こんな面倒なことの原因になったネギへの怒りを込め、力学的エネルギーを詰め込めるだけ詰め込んだ回し蹴りを図書室の扉に叩き付けた。
「こーのネギ坊主……何をやっとるか───ッ!!」

 バキィッ!
 ちょうつがいがはじけとび、観音開きの大きな扉が宙を待った。
「わ──っ」
「あうっ」
 ネギとのどかの悲鳴にはっと我にかえった明日菜。ネギが四つん這いで涙目になりながら
「ア、アスナさん!! あ、あぶないです」
 と抗議している。その向こうでは、蹴り飛ばされた扉が当たったのか、のどかが目を回していた。
「あ、本屋ちゃん! ……じゃなくて宮崎さんまで。ゴ、ゴメン」
 慌てて明日菜はのどかのもとへ駆け寄り、気絶している彼女を抱きかかえる。
 そしてじろっとネギの方を睨んで言った。
「全く……世話がやけるわね!」
「あ、ありがとうございますアスナさん!」
 とここでネギは、明日菜が気づかないほど短い一瞬、言葉に詰まる。
 よく考えたら明日菜には何一つ助けられていないのである。
 しかし図書室で何があったか正直に言えば、明日菜がどんな反応をするのか手に取るようにわかる。まして、あの頑丈な扉を破る蹴りを見せられた直後とあっては……。
 ネギは一瞬でそこまで考えて、言葉を続けた。
「助かりました……」