☆魔法先生ネギま!☆213時間目

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「あ」
「…っと」
 その拍子に、二人の顔がお互いびっくりするほど近付いてしまう。
 相手の温かく湿った吐息がかかり、鼻先がもう少しで触れ合う距離。
 ネギはもとより明日菜まで、そのあまりに近すぎる位置に胸の鼓動が高まりつつあった。
「…………」
「あ、あの……」
「……」
「……」
 大きく目を見開きながら見詰め合っていた二人だが、やがて明日菜の目が愛しいものを見るように熱がこもりだした。
「この先の練習も……いい?」
「えっ……」
 ネギの返事もきかず、明日菜は彼の両頬に手をあてる。
 ゆっくりとまぶたをおろしながら、熱い声で囁くように言う。
「目を…閉じて……」
 素直に目を閉じるネギ。それを薄目を開けて確認した明日菜は、そのままネギの両頬を引っ張ろうとした。
 実は彼女、キスをする気などなく、ネギをからかうつもりでこの『練習』を言い出したのである。散々ひどい目にあったしかえしというわけだ。
 ところがその時、予想外のことが起こった。
 これまで明日菜に圧倒されっぱなしだったネギが、ぐっと顔を前に突き出したのである。
 突き出したといっても、実際は二、三センチかそこら。しかし二人の唇が触れ合うにはそれで充分だった。
 ネギの柔らかい唇の感触を受けて、思わず固まる明日案。
(え? え? ええ?)
 驚きと、後悔と、恥ずかしさと、そしてかすかな快感とが一斉に出てきて彼女を混乱させる。思わず大きく目を見開き、びっくりするほど近くにあるネギの顔をまじまじと見てしまう。
 しかし、ぎゅっと目をつぶって唇を押し付けてくるネギの顔を見ていると、不思議なことに怒りは湧いてこなかった。
(う、うわー……こんな子供とファーストキスしちゃった……。人を呪わば、ってやつね〜。でも今更ネギを怒るのも筋違いだし……このまま本当にキスの練習しちゃおう……)
 それは、突然のファーストキスで混乱した頭が生み出した、飛躍した考えだったかもしれない。
 ともあれ明日菜は、自らも目を閉じ、ネギのキスを受け入れた。
 男とはいえ、まだ幼いだけあってネギの唇は潤いに富んだなめらかさを持ち、唇を触れ合わせているだけでその体温と感触が心地よい。
 ネギとするだけでもこんなに気持ちがいいのだから、好きな高畑先生としたらどんなに素敵だろう。
 明日菜がそんなことを考えていると、彼女は上下の唇のちょうど合わさったところに、何か唇とは別のぬるぬるしたものが触れたのに気づいた。