☆魔法先生ネギま!☆213時間目

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 ネギの言葉に心を動かされ、高畑先生に告白することを決意した明日菜。しかしその前に、彼女はネギを相手に告白の練習をすると言い出したのだが……。
 
「あんた今から高畑先生ね」
「あ、あい」
 突然の舞台設定、そして明日菜の一方的な物言いに、戸惑いながらも返事をするネギ。
 思わず気をつけの姿勢で固まってしまうネギに、明日菜は向き合った。
 しかし。
 頭一つ背の低いネギを見下ろす明日菜。
 頭一つ背の高い明日菜を見上げるネギ。
「……」
「……」
 当然、実際に告白するとしたら、背の高い高畑先生のことだから明日菜の方が見上げなければいけないはず。
 結構細かいところまでシミュレートする気のようで、明日菜は少し考えたあと、ネギの体をひょいと持ち上げて、階段を一、二段昇らせた。
「あ…あの……」
 とここに来て、ネギはちょっと何か違うんじゃないかと思ったらしい。質問とも抗議ともつかぬあいまいな呼びかけ。
 しかし、明日菜はそんなネギをよそに、ツインテールにしてあるリボンに手をかける。
 ちりりん……。
 髪飾りの鈴の音と共にするっとリボンがほどけ、明日菜のつややかな朱色の髪が彼女の背中にかかる。
 窓から射し込む陽射しが、これまでの快活さ一本槍とは違う、彼女の別の一面を照らし出した。
「ふう……」
 と、明日菜はうつむき加減でため息のような深呼吸を一つ。
「あ……」
 目の前の明日菜の表情にネギは、はっとする。
 明日菜は顔をあげ、どこからか吹いてきた風に、腰まで伸びた髪を揺らしながら言った。
「好きです」
 ネギの胸の奥で、ドキンと甘い衝撃が一つ。
 明日菜は軽く握った両の拳を胸元に。頬を赤らめながらネギの目を真っ直ぐ見てもう一度。
「好きです。先生」
 祈るように両手を組みぐっと顔を近づける。
「ずっと前から……迷惑ですか」
「あ、いえ…でも……」
 思わず上体を反らしながら、意味の通じない言葉をつぶやくネギ。
 窓からの陽光に照らし出される明日菜の髪をおろした姿。それはさっきまでとうってかわって慎ましく、しとやかで、ネギに故郷の姉を思い出させた。
 と、そこで明日菜はくるっときれいなターンを決めると、目を伏せてうつむき、
「やっぱりダメですよね。私なんか……」
 と、わざわざ悲しげな声色を作って消え入りそうに言う。
「えうっ」
 明日菜の姿に、ネギは思わず明日菜の肩をぐっと掴んだ。
「そ、そんなこと……」 
 と振り向かせたまではよかったが、急な回転に明日菜が足をもつれさせてしまい、ネギの方へと倒れかかった。