「ほら、ネギ君。…あそこで、今よりもっともっと……恥ずかしくて気持ちいいこと、してあげる」
誘うような朝倉の声が、ネギの耳に届いた。
朝倉に手を引かれ、麻帆良学園の女子の制服を着たネギが怪しげなドアをくぐる。
敷居をまたいだ瞬間、冷房のひやりとした空気がスカートの下の生足を撫でていった。
ぶるっ…。
寒気がして思わず身震いするネギの耳に口づけするかのように顔を近づける朝倉。
「怖いの、ネギ君?」
「…い、いえ、その…」
耳に吹きかけられる熱い息に、ぴく…っ、とペニスを反応させてしまった。
わずかに揺れたスカートのすそは、報道部の観察眼に見咎められる。
スカートの中に不躾な手が滑り込んで、勃ち上がりかけたペニスをつまんで引っ張りあげた。
まるで釣り針に引っかけられた魚のように、ネギの腰が朝倉に引っ張られるままに前に出てしまう。
「ひゃん……! や、やめてください朝倉さん…」
「私がやめるまえに、ネギ君がこのヤらしいおちんちんを小さくしてからモノを言いなよー」
「あうっ、そんなぁ…」
拒否する声も弱く、ネギは朝倉に引かれるままに一つの部屋に入っていった。
重そうな鉄の扉を開けると、その先には様々な撮影機材の並ぶ部屋。
それだけならネギは驚かなかったかもしれない。
右手の壁一面には、無数のコスチュームや淫猥な形の器具が整然と並べられ、左手の壁は、一面が鏡で出来ていた。
「……っっ」
天井から床まで広がる巨大な鏡に、ネギは今の自分の全身像を初めて目の当たりにした。
自分であるはずなのに、鏡の中には「少女」が居た。
顔を赤くしながら、あるはずのないペニスをグラマーな女性に引かれて歩かされている「麻帆良学園中等部の少女」が。
「あ……」
ぶる…っ。
背筋に突如走った背徳感に身震いする。朝倉がつまんだペニスが、むくむくと大きさを増した。
「あ、あの、朝倉さん。これは違うんです、その…」
「自分の格好見て興奮しちゃったんだねー? エッチなネギ君。
今日はたーっぷりと女の子のネギ君を写真に残してあげるから、期待してていいよ?」
オーケーオーケー、と、ネギの反応に手応えを感じてガッツポーズをする朝倉。
その姿を見て、ネギは期待と諦観の入り交じった複雑なため息を吐き出した。
中央に作られた撮影スペースに、制服姿のネギが所在無さげに立っている。
部屋の隅に備えつけられたビデオカメラのスイッチをONにすると、朝倉は自前のデジカメを手に取る。
カメラのファインダーを覗きながら、早くも息を荒くし始めていた。