ちゅぱ……。
尖った乳首に舌が恐る恐る触れたかと思うと、一気に口がつけられた。
そこから先は、熱に浮かされて訳が判らなくなった。
(どうして僕は、こんなところで朝倉さんからおっぱいをもらっているん…だ…ろぉ…)
まるで赤ちゃんに戻ったかのように。
けれど赤ちゃんは決してしないような舐め方で、出ようのないおっぱいを求めた。
ちゅうちゅうと音をたてて吸いたてられる。乳輪をなぞるように舌が這わされる。
「っあ……! ネギ君、いい子だね……」
母が子にするようによしよしとネギの頭を撫でる朝倉。
途端、母には有り得ない、策士の貌が覗く。策が成ったと言わんばかりの、笑みが浮かぶ。
「――ハイ、チーズ」
パシャ――――。
閃く光はデジカメのフラッシュ。
轟く音はシャッター音。
今、この瞬間。生徒と先生の情交が――写し取られた。
その光が虚ろになっていたネギの頭に理性を呼び戻す。
朝倉の胸から唇を離すと、徐々に愕然とした表情になっていく。
「……あ、あぁ……あ、朝倉さん、ぼ、僕……」
自分のしたことが信じられないという顔。朝倉と、朝倉が手に持つデジカメを交互に見つめる。
色恋や性には疎いネギであるとはいえ、この状況の背徳性くらいは判る。
それこそ――淫行――であると。
それを写真に撮られた。
恐らくは夢中で生徒の裸の胸にむしゃぶりつく子供先生の痴態が収められていることだろう。
どう見積もっても、それを後悔されたら――――。
身体が震える。涙が浮かぶ。ネギは絶望的な表情で、朝倉の顔を恐る恐る見上げた。
そこにあったのは、ネギが想像していたようなモノではなく、
「あちゃー、やりすぎちゃったかなー?」といういつもの悪びれない表情の朝倉。
その顔を目の当たりにして、ネギはきょとん、とした顔になる。
「…あー、ネギ君。ゴメンね? 別にコレをどうにかしようってわけじゃないんだよ」
ぽりぽり、と頬を掻いて朝倉が告白する。
照れくさいといった風情で、手持ち無沙汰にデジカメを上下に振りながら。
「私の胸を吸ってるネギ君が可愛くてさ。ちょっと画に残しておきたいなって思って」
「……そ、そうですか……」
遠まわしな告白じみた言葉ではにかむ朝倉に、ネギの顔も赤くなる。
「…っ、でも…、先生の僕が生徒の朝倉さんを襲っちゃうなんて……、なんてお詫びしたらいいか……」
赤くなったのもつかの間、再び自己嫌悪に陥るネギ。
その姿を見て、朝倉は悪戯心を起こした。
別に、彼に何か対価を求めようとしていたわけではない。
さっきの写真の件だって、別に最初からそうしようとしていたわけもなく。
ただ成り行き任せに脱いでしまっただけ(とりあえずブラは更衣室で外してから追ってきたのであるが)。
…でも、今なら。彼とより強く結びつくこともできるのではないか。
そんな考えが頭をよぎった。