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名無しさんの次レスにご期待下さい:
ファインダーを覗く。真実を写し出す。
――それが、私の使命。
私情は極力挟まずに。けれど情を失わないように。
──それが、私の矜持。
なのに。ただ一人の少年を私のレンズ(眼)は追う。
ジャーナリストとしての誇りは今は休業中。…今は、彼を追う。
「――ネギ君、写真撮ってもいいかな……?」
出席番号3番、報道部・朝倉和美がそう言ってデジカメを片手に歩み寄る。
人気のない体育館裏で辺りを見回す子供を追い詰めるように。
ぱちくりと瞬きをして、担任教師ネギ・スプリングフィールドはその様子を見ていた。
いつもの、シニカルっぽいけれど人情的な彼女とは――どこかが違う。
けれど、敵意を感じるとかそういうことではなく。
――何か、温かな感覚。
10歳の少年にはそう感じられた。実際はもっともっと――熱い、溶岩のような何かだったのだが。
「え? は、はい。いいですよ?」
普段の軽軽しさと違う様子に戸惑いながらも承諾すると、朝倉は明らかにほっとした安堵の表情を見せた。
そして、ごくりと喉を鳴らす。
決意をそれで固めたのか、ネギを片手で抱きしめるようにして引き寄せる。
突然のことにバランスを崩して朝倉の腕の中に収まるネギ。
「あ、朝倉さん?」
驚きの声を上げるネギに、朝倉はぎこちなく微笑みかける。
「…い、一緒に写ろうと思ったんだけど…ね。三脚忘れちゃったから……」
とってつけたような言い訳。
ならば誰かに代わりに撮ってもらえばいいだけのことなのに。
普段の冷静さが失われたような朝倉の様子を、ネギは黙って見つめていた。
「ほ、ほら。…もっとくっついて。フレームの中に入らないから」
片手でデジカメのレンズを自分たちに向けて、もう片手でネギを引き寄せる。
上気して汗ばんだ二の腕の肌が首に巻きつく感覚。
朝倉の体温が伝わる。しっとりとした質感に、ネギはどきどきさせられた。
「こ、これでいいですか…?」
おずおずと問うネギ。見下ろす朝倉が、まるで捕食者のように見える。
「うん。それでOK。……なんか、暑いね。――ベスト、脱いじゃおっかな」
言うが早いかボタンを外すと、ベストを器用に片手で脱ぎ去った。
ふるっ……と、夏用の制服のシャツの中で3−Aトップクラスの巨乳が揺れる。
ネギの視線は、ついそこに釘付けになった。
(……あれ……?)
目を疑った。この時期、シャツ一枚ならば下着の線が見えるはずであるのに。
――見えない。
それどころか、ネギの顔の真横にある大きな胸の頂点が、二つ。突起のように盛り上がっていた。
白いシャツから透けて見えるのは、薄く肌色と――頂点の赤みだけ。
ネギの視線に気付いたかのように押し付けられる朝倉の胸。
その突起が、まるでお餅のように柔らかい周囲の胸とは対照的に、ネギの頬を突いた。
「……っ……あ、朝倉さん、あ、あの……」
すっかり顔を赤くしたネギが、妖しく笑う朝倉に助けを求めるような声を出す。
だが、帰ってきた言葉は更に相手を窮地に追い込むもの。
「ふふ、ネギ君ったらエッチなんだから」
「え、えぅ──っ!?」
そう言って、ぷちぷちとボタンを外していく。――ブラジャーのない、裸の上に羽織っただけのシャツを。
それを取ってしまったら、あとは朝倉の上半身に着けるものは何一つ無くなってしまう。
ひとつ、ひとつとボタンが外されるたびに大きな、まろみを帯びた肌色が姿を現していく。
襟元から4つ、外されるボタン。
まるで風呂敷包みに入った大事なものを取り出すようにシャツの前は開かれた。
つ──ぅ──……。
外気に触れた朝倉の大きな胸を汗が一筋ゆっくりとつたっていく。
汗の通った箇所が濡れて光り、それが無性に艶かしく見えた。
そして、ふたつの胸の頂点で存在を示す突起。
明らかに柔らかそうな胸とは逆に硬くしこりきった、強烈に自己主張をする桃色の乳首。
大きな胸に合わせたように大きめの乳輪が、朝倉和美という人物を表しているように思えた。
エッチなというには卑猥過ぎる胸。
「エロい」という表現がピッタリ来る肢体であると言えた。
ふにゅ…っ──。
「わ、わわわっ……!!」
ぎゅうっ、と抱きしめられるネギ。
今度はじかに、頬に触れる胸。体温と鼓動が頭の芯に響く。
肌と肌が感じる熱さが正常な神経を焼き、激しく脈打つ鼓動に合わせてネギの心臓も高鳴っていく。
「ネーギ君。気持ちいい?」
あくまでいつものように軽く問い掛ける朝倉。
しかし、吐く息の熱さと触れる肌の火照りが、いつもの朝倉ではないことを如実に告げる。
その姿に目が吸い寄せられる。深く、もっと抱きしめてもらいたい――なんてことが頭をよぎってしまう。
「……は、はい…。気持ちいいです……。なんだか、すごく…」
「吸っても、いいよ?」
沈黙が流れる。
朝倉の言っていることを理解するのには時間がかかった。
先生という立場なら、してはいけないことだということは判っている。
──けれど。勝手に口が開く。舌が、伸びる。
ちゅぱ……。
尖った乳首に舌が恐る恐る触れたかと思うと、一気に口がつけられた。
そこから先は、熱に浮かされて訳が判らなくなった。
(どうして僕は、こんなところで朝倉さんからおっぱいをもらっているん…だ…ろぉ…)
まるで赤ちゃんに戻ったかのように。
けれど赤ちゃんは決してしないような舐め方で、出ようのないおっぱいを求めた。
ちゅうちゅうと音をたてて吸いたてられる。乳輪をなぞるように舌が這わされる。
「っあ……! ネギ君、いい子だね……」
母が子にするようによしよしとネギの頭を撫でる朝倉。
途端、母には有り得ない、策士の貌が覗く。策が成ったと言わんばかりの、笑みが浮かぶ。
「――ハイ、チーズ」
パシャ――――。
閃く光はデジカメのフラッシュ。
轟く音はシャッター音。
今、この瞬間。生徒と先生の情交が――写し取られた。
その光が虚ろになっていたネギの頭に理性を呼び戻す。
朝倉の胸から唇を離すと、徐々に愕然とした表情になっていく。
「……あ、あぁ……あ、朝倉さん、ぼ、僕……」
自分のしたことが信じられないという顔。朝倉と、朝倉が手に持つデジカメを交互に見つめる。
色恋や性には疎いネギであるとはいえ、この状況の背徳性くらいは判る。
それこそ――淫行――であると。
それを写真に撮られた。
恐らくは夢中で生徒の裸の胸にむしゃぶりつく子供先生の痴態が収められていることだろう。
どう見積もっても、それを後悔されたら――――。
身体が震える。涙が浮かぶ。ネギは絶望的な表情で、朝倉の顔を恐る恐る見上げた。
そこにあったのは、ネギが想像していたようなモノではなく、
「あちゃー、やりすぎちゃったかなー?」といういつもの悪びれない表情の朝倉。
その顔を目の当たりにして、ネギはきょとん、とした顔になる。
「…あー、ネギ君。ゴメンね? 別にコレをどうにかしようってわけじゃないんだよ」
ぽりぽり、と頬を掻いて朝倉が告白する。
照れくさいといった風情で、手持ち無沙汰にデジカメを上下に振りながら。
「私の胸を吸ってるネギ君が可愛くてさ。ちょっと画に残しておきたいなって思って」
「……そ、そうですか……」
遠まわしな告白じみた言葉ではにかむ朝倉に、ネギの顔も赤くなる。
「…っ、でも…、先生の僕が生徒の朝倉さんを襲っちゃうなんて……、なんてお詫びしたらいいか……」
赤くなったのもつかの間、再び自己嫌悪に陥るネギ。
その姿を見て、朝倉は悪戯心を起こした。
別に、彼に何か対価を求めようとしていたわけではない。
さっきの写真の件だって、別に最初からそうしようとしていたわけもなく。
ただ成り行き任せに脱いでしまっただけ(とりあえずブラは更衣室で外してから追ってきたのであるが)。
…でも、今なら。彼とより強く結びつくこともできるのではないか。
そんな考えが頭をよぎった。
これはメディアの悪用だ、と自分の中で良心が叫ぶ。
しかしそれも、乙女心の前では空しい負け犬の遠吠えに過ぎなかった。
「じ、じゃあねえ、ネギ君――」
朝倉がデジカメを顔の前に持ってきて、愛用のソレにちゅっ、とキスをする。
「この中のデータを消して、私も今の事を忘れてあげる。その代わり――――」
「私にネギ君の写真、いっぱい撮らせてくれないかな?」
先生が生徒の胸の先端を口に含んで、一心不乱に吸い上げている。
その姿が、デジタルカメラにしっかりと残された。
先生は10歳の子供教師、ネギ・スプリングフィールド。
写真に収めた張本人は、子供教師の生徒、報道部・朝倉和美。
出すところに出せば、如何に先生が子供であるとはいえ処分は免れない。
立派な先生になって、マギステル・マギを目指すネギにとっては──絶望的なこと。
魔法がバレたという処分ではないが、それでも教師を続けることは難しいだろう。
哀しそうな、捨てられた子犬のような目で見つめてくる子供先生に、朝倉が起こした悪戯心。
それは、彼ともっと深く、戻れないところで結び付くためのイベント。曰く、
「データを消して、私もこのことを忘れてあげる。
…その代わり、私にネギ君の写真いーっぱい撮らせてくれるかな?」
──と。ネギに、選択の余地はなかった。
体育館裏で写真の一件があった次の週末。
学園から電車でしばらく離れた秋葉原の街。
その駅の電気街口前に、肩からバッグをかけた一人の少女の姿があった。
麻帆良学園の制服を着ている少女が秋葉原にいるというだけで、道行く人々は好奇の視線を向ける。
──なんでこんなところに「あの」学校の制服で…。
──コスプレか。
──いや、あの恥ずかしがり方は違うだろう。
──じゃあAVか。露出の。
──あんな小さい娘にやったら犯罪だろうに。
──むしろそれが萌え。
──通報しますた。
男たちの不躾な視線に晒されて、少女は重ねた両手を強く握り締めてうつむく。
肩口まで伸びた茶色の髪が傍目にも判るほど緊張に揺れていた。
そんな少女の姿を見咎める存在があった。
髪を首筋でひとつにまとめて眼鏡をかけた、自ら大衆に埋没して目立たないようにしている少女・長谷川千雨。
千雨の手には大きなパソコンショップの紙袋を抱えられていた。
(オイオイ、なんでアキバにウチの学校の制服のヤツがいんだよ…)
口には出さないが苦々しい表情で遠巻きに眺める。
(──あれ、あの顔どっかで──…………)
訝しげな視線は、やがて疑念から驚愕に。
(────っっ!? アレ、あのガキじゃねーかよっ!?)
千雨の察し通り、少女は少女ではなく。
担任教師である少年、ネギ・スプリングフィールドの女装であった。
もじもじ、とネギは太腿を擦り合わせる。
顔が赤くなっていくのが自分でも判る。
『それじゃあこれを着て、秋葉原の電気街口で待っててねー』
という言葉と共に渡されたものは、見慣れた麻帆良学園中等部の制服。
──もちろん、女子用であった。
戸惑うネギに朝倉が耳打ちをした。
『ちゃんと「全部」着てくるんだよ?』
寮で着替えるわけにはいかない。見つかったらどうなるかと考えるだけで身がすくむ。
麻帆良から少し離れた場所にあった公園のトイレで着替えることにした。
10歳のネギに合わせたような、小さい制服。
どこから調達したのかと尋ねても「世の中には知らない方がいいこともあるのよ…」とはぐらかされた。
ネギの体格にぴたりと一致した制服の着心地はよかったが、着た瞬間にふわりと香った甘い匂いに、不意に股間を大きくしてしまった。
(こ、これ…、誰かが着てたのかな…)
ひょっとしたら自分の生徒のモノを着ているのではないか。
そんな考えと共に、背筋をぞくぞくと背徳感が駆け上った。
ごく短めなスカートを、ネギのペニスが持ち上げる。
はぁ…と熱い吐息を吐きながら、両手で自分の身体を抱きしめてうずくまるようにする。
──と、制服のポケットから何かが舞った。
トイレの床に落としてしまわないように慌ててネギはそれを受け止める。
柔らかい布の感触。
くしゅくしゅに丸まったそれは、本来女性の下腹部を包むもの。
ごく…んっ。
それを見た瞬間、ネギは唾を飲み込んだ。
(…ぱ、パンツ……)
ふるふると震える手で手の中のパンツを伸ばしてみる。
白地に水色の縞がついた、健康的な柄の下着。
ソレからも、制服と同じ──制服よりももっともっと甘い果実のような匂いがした。
「……あ、朝倉さんが、ぜんぶ、着てきなさいって言ったんだし…。しょうが…ないよね……?」
無意識に、自分に言い聞かせるように声を出すネギ。
スカートの下のトランクスを脱いで、私服の入ったバッグにたたみもせずに詰め込む。
自由になったペニスが、未知の感触に期待してかピクピクと揺れた。
両手で広げた縞のパンツに脚を通してゆっくりと引き上げる。
睾丸、おしり、そしてペニス──と、きゅっと締めつけるような感覚。
「…んぁ……」
不意に、甘い声が漏れる。
ペニスはとうの昔に猛りきっていた。
亀頭の先がパンツからのぞいている。耐えきれずに指先が、伸びる。
パンツごと握りつぶすようにしごきたてられる勃起。
「あ…ふぁ……んぅ……」
ここが公共のトイレだということを思い出し、声を噛み殺す。
それでも漏れ出る喘ぎと、亀頭の先端から滲み出る液。
ちゅ、くちゅ、ぷちゅ……。
借り物の下着を濡らしながら、自慰は続く。
「ひ、っあ、だめぇ、そ…んなぁ……っ」
何を妄想しているのか被虐的な面差しでペニスをしごき立て、
空いた片手で、制服の上から胸を磨り潰すように愛撫する。
「ぼ、僕っ、男なのに…っ、し、紳士なのにぃ……!」
否定の言葉を吐きながら、しかし顔は快楽に蕩け、ペニスを擦る手はより激しさを増す。
「う、うぁ、ぁあっ────!!」
制服を精液まみれにすることは避けられたが、下着はぐちゅぐちゅになってしまったのだ。
手洗い場で水洗いをしてなんとか穿いているのだが、生乾きで気持ち悪い。
思い出すだけでも恥ずかしい。
そして、思い出すだけで感じて…勃ってきてしまう。
「ん……っ」
スカートを持ち上げる勃起で自分が男だとばれないように、両手を股間の前で組んで強く握り締める。
(こ、これなら…女の子の仕草に見えるよね……)
確かに、その容姿は少女に見えた。
だが、それと同時に紅潮する頬が周囲の人間にあらぬ考えをさせていることには気付かなかった。
──お、おい、顔を赤くしてるぜ!?
──喘いでるし、感じてるんじゃないのか!?
──萌え?
──萌え。
そして、駅前で佇む少女がネギだと確信してからそこを動けなくなった千雨もまた、歯噛みしていた。
(……なっ、なんて顔してんだあのガキはっ……!
こんなところでンな顔してたらヘンな野郎共に連れ去られちまうってーの!!)
同時にデブオタに嬲りモノにされる女装ネギの姿を妄想してしまい、顔を赤くする。
(……──ああもう。アイツは…。
ったく、あんな子供でも一応先生だしな。しょうがない、助けてやるか──……)
ヲタク共に視姦されるネギをとりあえずこの場から連れ出してやらねば──、
心の中で悪態をつきながらもそう思った千雨が、人ごみを抜けてネギの場所へ向かおうとした。
ちょうどそのとき。
うつむく小柄な「少女」に近づく、一人の女性がいた。
はちきれそうな肢体を露出度の高い──胸の大きさををことさらに強調し、
なおかつ膝上二十センチはあるスカートとセットになった──衣装に身を包んだ女性である。
艶やかな笑みを浮べ、薄くルージュをひいた口唇を「少女」の耳元に寄せる。
恥ずかしそうに顔を伏せる「少女」。
唖然とする観衆をおいてけぼりにするかのように、「少女」は女性に連れられてその場から立ち去っていった。
ナイスバディ大人の女性に「少女」が連れて行かれるという状況に、あらぬ妄想を掻き立てられる観衆たち。
その中で、人を掻き分けようと手を伸ばした状態で硬直した千雨がいた。
──あれは、大人なんかじゃない。あれは──
「……朝、倉……?」
どうしてネギと朝倉があんな格好で会っているのか。
そもそも、女装をさせたのは朝倉なのか。疑問と疑念が渦を巻く。
衝動のままに千雨は二人が消えた方向へ走り出していた。
自分の年齢が大人に見える服装でネギの前に現れた朝倉和美。
スクープを見つけ出すその眼力が、ネギの異変を察知した。
もとより、着て来なくてもそれはそれでしょうがないと思っていた制服を着てきたことも去ることながら。
紅潮する頬と、ほど近くに近づいて初めて判った明らかな性臭。顔が緩むのを押さえきれない。
(ネギ先生も、期待してる)
そうでなければ、一人でシてしまうということはないだろう。
自分の思惑がこれ以上ないくらいに上手く運んでいることに、内心でガッツポーズをする朝倉。
口唇をうつむくネギの耳元に近づけて、最大限に妖しく、エッチに聞こえるようにつぶやいた。
「我慢できなかったのかな? ――ネ・ギ・ちゃん♪」
相手を女の子として扱うごとくの一言。
その言葉を聞いて、ぶるっ、と身を震わせると、力なくうなずくネギ。
朝倉に連れられて駅前を離れる。見上げる瞳は、潤みきっていた。
(……僕、どうなっちゃうんだろう……)
朝倉に手を引かれ、あまり人の通らない路地へと入っていく。
きょろきょろと辺りを見回し、心細さに朝倉に少し寄り添うようにする。
――ぎゅ……!
「ひぁ!?」
その瞬間、短いスカートの下のネギのおしりが朝倉にわしづかみにされた。
「ちゃんと穿いてきてくれたんだね。よかったー」
むに、むに、むに……
肉付きの薄い少年のおしりが、こねくり回される。生乾きのパンツが張り付いて、水分を滲ませた。
「あっ、うあんっ! だ、だって、朝倉さんが穿けって……っ」
「うん。……でもね? そのままおちんちんしごいて来て、なんて私は言ってないよ?」
立ち止まってにっこりと笑みを浮かべる。まるで――獲物を追い詰めるように。
あうう、と言葉に詰まるネギに、頃合と判断した朝倉は、脇道の階段を指した。
そこには、簡素な文字の看板。
「ほら、ネギ君。…あそこで、今よりもっともっと……恥ずかしくて気持ちいいこと、してあげる」
誘うような朝倉の声が、ネギの耳に届いた。
朝倉に手を引かれ、麻帆良学園の女子の制服を着たネギが怪しげなドアをくぐる。
敷居をまたいだ瞬間、冷房のひやりとした空気がスカートの下の生足を撫でていった。
ぶるっ…。
寒気がして思わず身震いするネギの耳に口づけするかのように顔を近づける朝倉。
「怖いの、ネギ君?」
「…い、いえ、その…」
耳に吹きかけられる熱い息に、ぴく…っ、とペニスを反応させてしまった。
わずかに揺れたスカートのすそは、報道部の観察眼に見咎められる。
スカートの中に不躾な手が滑り込んで、勃ち上がりかけたペニスをつまんで引っ張りあげた。
まるで釣り針に引っかけられた魚のように、ネギの腰が朝倉に引っ張られるままに前に出てしまう。
「ひゃん……! や、やめてください朝倉さん…」
「私がやめるまえに、ネギ君がこのヤらしいおちんちんを小さくしてからモノを言いなよー」
「あうっ、そんなぁ…」
拒否する声も弱く、ネギは朝倉に引かれるままに一つの部屋に入っていった。
重そうな鉄の扉を開けると、その先には様々な撮影機材の並ぶ部屋。
それだけならネギは驚かなかったかもしれない。
右手の壁一面には、無数のコスチュームや淫猥な形の器具が整然と並べられ、左手の壁は、一面が鏡で出来ていた。
「……っっ」
天井から床まで広がる巨大な鏡に、ネギは今の自分の全身像を初めて目の当たりにした。
自分であるはずなのに、鏡の中には「少女」が居た。
顔を赤くしながら、あるはずのないペニスをグラマーな女性に引かれて歩かされている「麻帆良学園中等部の少女」が。
「あ……」
ぶる…っ。
背筋に突如走った背徳感に身震いする。朝倉がつまんだペニスが、むくむくと大きさを増した。
「あ、あの、朝倉さん。これは違うんです、その…」
「自分の格好見て興奮しちゃったんだねー? エッチなネギ君。
今日はたーっぷりと女の子のネギ君を写真に残してあげるから、期待してていいよ?」
オーケーオーケー、と、ネギの反応に手応えを感じてガッツポーズをする朝倉。
その姿を見て、ネギは期待と諦観の入り交じった複雑なため息を吐き出した。
中央に作られた撮影スペースに、制服姿のネギが所在無さげに立っている。
部屋の隅に備えつけられたビデオカメラのスイッチをONにすると、朝倉は自前のデジカメを手に取る。
カメラのファインダーを覗きながら、早くも息を荒くし始めていた。