☆魔法先生ネギま!☆212時間目

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ファインダーを覗く。真実を写し出す。
――それが、私の使命。
私情は極力挟まずに。けれど情を失わないように。
──それが、私の矜持。
なのに。ただ一人の少年を私のレンズ(眼)は追う。
ジャーナリストとしての誇りは今は休業中。…今は、彼を追う。

「――ネギ君、写真撮ってもいいかな……?」

出席番号3番、報道部・朝倉和美がそう言ってデジカメを片手に歩み寄る。
人気のない体育館裏で辺りを見回す子供を追い詰めるように。
ぱちくりと瞬きをして、担任教師ネギ・スプリングフィールドはその様子を見ていた。
いつもの、シニカルっぽいけれど人情的な彼女とは――どこかが違う。
けれど、敵意を感じるとかそういうことではなく。
――何か、温かな感覚。
10歳の少年にはそう感じられた。実際はもっともっと――熱い、溶岩のような何かだったのだが。

「え? は、はい。いいですよ?」
普段の軽軽しさと違う様子に戸惑いながらも承諾すると、朝倉は明らかにほっとした安堵の表情を見せた。
そして、ごくりと喉を鳴らす。
決意をそれで固めたのか、ネギを片手で抱きしめるようにして引き寄せる。
突然のことにバランスを崩して朝倉の腕の中に収まるネギ。
「あ、朝倉さん?」
驚きの声を上げるネギに、朝倉はぎこちなく微笑みかける。
「…い、一緒に写ろうと思ったんだけど…ね。三脚忘れちゃったから……」

とってつけたような言い訳。
ならば誰かに代わりに撮ってもらえばいいだけのことなのに。
普段の冷静さが失われたような朝倉の様子を、ネギは黙って見つめていた。

「ほ、ほら。…もっとくっついて。フレームの中に入らないから」
片手でデジカメのレンズを自分たちに向けて、もう片手でネギを引き寄せる。
上気して汗ばんだ二の腕の肌が首に巻きつく感覚。
朝倉の体温が伝わる。しっとりとした質感に、ネギはどきどきさせられた。
「こ、これでいいですか…?」
おずおずと問うネギ。見下ろす朝倉が、まるで捕食者のように見える。
「うん。それでOK。……なんか、暑いね。――ベスト、脱いじゃおっかな」

言うが早いかボタンを外すと、ベストを器用に片手で脱ぎ去った。
ふるっ……と、夏用の制服のシャツの中で3−Aトップクラスの巨乳が揺れる。
ネギの視線は、ついそこに釘付けになった。
(……あれ……?)