今回、突然に積極的に迫り、尚且つ、普段のように煙たがるのからではなく、嬉々としていじめた理由について
問おうとしたとき、明日菜は、それで我に返り、少し嗚咽を交えながら、淡々と語りだした。
「……アンタの…所為だからね……。」
「えっ……?僕、また何かアスナさんの気に障る事でも……?」
普段、怒気混じりで同じ事を言われる場合は大概「ごめんなさい〜」で逃げ回ったりおどおどするはずなのに、
あまりにも普段と口調、雰囲気が違うために、思わず改まって聞いてしまっている。
「違うの……。ううん、違わない。けどいつもとは違う……。」
「??」
「私……アンタの事を最初は大嫌いだった。いけ好かない生意気なガキだと思っていた。
だって、いきなり初対面で失恋とか何とかいうわ、
証拠隠滅とか言って魔法失敗させて素っ裸にさせるわ、
出所不明の薬で混乱に陥れるわで…………。
だから、よく追い払ったり、邪険な態度で取り合わなかったりもした。鉄拳制裁なんかもしたわよね……。」
「ごめんなさい……。」
「今アンタから謝罪を求めようという気はないわ……。
えっと、さっきの続き……。でも、そんな冷たい私なのに、アンタは、しつこくっついて回っていた。
お姉ちゃんに匂いが似ているからといって、本当の姉のように懐いてきたりもした。
しかも、何の関係もない、こんな冷たい、体力以外何も取り柄の無い私に対して、
私を気にかけている理由と身上、そして、夢として抱いている目標の事までまで真剣に語って……。」
「…………。」
「それからかな……私の中でアンタの見方が少しずつ変わってきたのは。
私の言った事を気にして図書館島で力封印してみたり、
ムカつく位の多勢に無勢な状態でエヴァちゃんに一人で立ち向かおうとしたり……。
そのときは、まだ自分の本心と建前のプライドの間で揺れ動いてて、
また、あんたを信じきれていなかったのがあってあんな事やこんな事を言っちゃったけど、
そして、それらの事が終わっても、お姉さん風吹かしてアンタには言わなかったけど、本当はちょっと後悔してた……。」
「…………。」