【チンキスは〜ん】太臓もて王サーガ48【大亜門】

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353名無しさんの次レスにご期待下さい
爆導柵?って有刺鉄線じゃだめ?
>>711
MIAのガンダムハンマーでも仕込んどけ
3.コウというパイロット
 さて、少し視点を変えて、この辺りでコウ・ウラキというのがどんなパイロットだった
のかを見てみましょう。
 まず彼は、ガンダムの主人公としては(*9)珍しい地球人です。ついでに、NTでは
なく、連邦軍の正規の士官でも有ります。
士官、といっても、士官学校を出たばかりなのですが。
 ここで問題なのは、彼が純粋に地球生まれの地球育ち、更にいえば一年戦
争終結後の地球配備だったことです。訓練過程でいくらかのシュミレーター戦
闘は行っているでしょうが、肝心の無重力、低重力での感覚というものを備え
てはいないのです。つまり、少なくとも宇宙での実戦にいきなり投入できるパイ
ロットではありません。にもかかわらず、ほんの僅かの訓練を(しかも、機種転
換訓練と並行して)受けただけで実戦に出てなおかつ生還、戦績を上げている
というのは大変なことです。
 しかも、(*10)アムロやジュドーは明らかに格下の相手を、カミーユでも(*11)
同格の相手を初戦からしばらくの間の敵としていますが、さんざん機体の性能
差うんぬんといわれるコウが宇宙に出て相手にしたのは格上のMA(*12)ヴァル・
ヴァロです。更に相手パイロットがジオンの元エース、ケリィ・レズナーだったことを
考えると、本当によく勝てたもんだと感心させられます。
 コウが弱いといわれるのは、つまりはライバルのガトーと比較してしまうから
です。しかし、ガトーは『ソロモンの悪夢』の異名を取り、(*13)ジオン3大エース
とまで呼ばれた超一流のパイロットです。撃墜数の上ではかのシャア・アズナ
ブルをも上回っているのですから、正直いって士官学校でたてのひよっこが相
手に出来るようなレベルの相手ではありません。しかも、作品全体を通してガトー
はコウと同等かそれ以上の機体に乗っているのです。これでは勝てないのもあたりまえの話です。
 コウが不幸なのは、泥縄的対応をする上層部によってそもそも運用思想が
まったく異なる機体への乗り替えを余儀なくさせられ、更に明らかに格上のガ
トーをライバルとしてしまったところにあります。むしろこれだけ劣悪な環境下で
生き残り、それなりの戦績を上げているというだけでも彼の優秀さを示していると
いえるのですが。
 更に言ってしまえば、彼が主人公として描かれたのが最大の悲劇です。自分
よりも格上の相手と何度も戦い、撃墜されることなく生き残る。これは『ライバル
』に求められるべき役です。代表選手でいえば、シャアがまったく同じ状況にい
ます。勝ち星を上げられなかったがゆえにジオン国内では評判の悪いシャアで
すが、ほとんどのパイロットはアムロを相手にした時一度目の戦闘で撃破されて
いることを考えれば、とにもかくにも生き残ったというだけでシャアの優秀さは明
かと言えるでしょう。実際、シャアのことを弱いという人はまずいません。純粋に記
録だけを見ればガルマを見殺しにして自分だけ生き残り、その後も連戦連敗なの
ですが。
 また、0083世界における主人公グループ、アルビオン隊は実は歴史全体の流れか
ら見ると敵役に当たります。コウとキースは退役しているものの、それ以外
のメンバーは4年後のZの時代にはティターンズに所属、スペースノイドの迫害に
活躍しているのですから。ティターンズかエゥーゴかという選択で迷うことなくティタ
ーンズを選んだ彼らは、この作品の中でもしっかりとそういう差別思想、選民思想
をもって行動しています。全体を貫く思想の底には戦争に奇麗ごとは通じないとい
うものが流れているように感じられる作品であり、他の作品と違って主人公=ヒー
ローという視点には立っていません。そのせいもあってか、主人公を本来以上に
く見せる演出があまりされておらず、コウは弱いというイメージが定着してしまった
のではないでしょうか。