餓狼伝
グラビア:タンバ。「走り疲れた戦士(アンタ)と、心から喧嘩(はな)してみたい」
トイレで対峙する姫川&藤巻。
姫川「これはまた……」「奇遇…というべきでしょうか」
ムスッとする藤巻。
姫川は菩薩のような微笑。仰々しく礼をする。
「あるいは」「私に逢いに来た……のでしょうか?」
藤巻「白々しい」 獣臭オーラが立ち昇る。
「俺にはあまり時間がないのでな」
(全てはこのため―――この時のため)
グニャアァ…と空間が歪む。冴子を思い浮かべる藤巻。
(消せない心の内側から)(遠ざかる世界まで)(ちゃんと見てほしくて―――)
「逢いに来た!」「逢いに来た!」「お前に逢いに来たのだ!!」
姫川、ウットリ顔で口笛。
場面転換。眼鏡警部と部下。
部下「想定内…?」
警部「フフ…」「あの 凶 悪 犯 が、執着をみせるモノは3つ」
「竹宮流」「果し合い」「そして姫川勉です」
「全てが揃うこのトーナメント。しかも姫川にあれほどの力を見せつけられては」
「トイレで闇討ちなる暴挙も無理からぬこと」
汗ダラダラの部下。
警部「 現 行 犯 だ 」
「今……大会関係者に紛れ、30名が張り込んでる」
「ヤツが藤巻だと名乗った瞬間――押さえますよ」
トイレの前で構える警部達。
場面戻る。
パアァッ、と姫川、満面の笑みでドアップ。
藤巻「……ッッ」
姫川「ホントに……久しぶりですね」「 藤 原 さ ん 」
藤巻「……ハァ?」
姫川「以前お会いしたのが超新星(スーパーノヴァ)観測した時だから…
1年ぶりですか。あれから人形劇作ってると聞きましたが、ゼヒ拝見を」
藤巻「フザけ…」
姫川「髪形変えました? 個人的には初期のが1番スキだな。何気に」
警部「…藤原ァ?」
部下「何のマネでしょうか」
警部「…ッ構わんッ。突入だッッ」
ドアを蹴破り、なだれ込む警官達。その時だった。
ブリッ ビビビビビ ボバババッ ジャ〜〜〜ッ
大便ルームから凄まじい音が。
ドアが開き、太い手が現れる。
「♪あァ〜ボクはいつも〜チカラ強く〜生きているよ〜〜♪…ッと。
ただならぬフンイキじゃねェか。ええオイ」
松尾象山登場!!
警部「…………ッッ」
藤巻「キサマ…」
ニヤついて見まわす象山。藤巻に目を止め、驚く。
象山「オ〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
と、床に雫がこぼれる。涙目のドアップ。
象山は号泣していた。「オ…オオ…オ〜〜」
一同( え 〜〜〜 !!? )
象山「久しぶりだなァ…藤 原 くん」
藤巻「!?」
警部「何言って…」
象山「ど〜〜〜も聴いたことある懐かしい声、なんかズイブン大切な声が
聴こえると思ったら…キミだったかい。藤原くん。状況はどうだい?」
「涙の理由を知ってるか? 俺にはワカらないが…
濡れた頬の温かさは おそらくお前がくれたんだ」
わざとらしく涙を拭う。
「疲れただろ? 疲れたらチョットさ、そこに座って話そうか。
ベンチとコーヒーでも…オイ、そこの空席にカバン置いてンじゃねえ。
話したいことは山程あるけど なかなか言葉になっちゃくれないよ。
ホントにマイるなぁ〜〜〜〜ッッ」
オーバーアクションで語りまくる。
一同、奇行に冷や汗ダラダラ。
象山「ヨシッ、せっかくだ。試合ィゆっくり観てったらいいや。
オウッ、姫チャマ。ビップルーム用意しな」
姫川「すぐに」
藤巻(チャマ!?)
さらにギャラリーに向かって一喝。
象山「オウッ、升くん増川くん。オメエらも藤原くんを案内しなッ」
若ェ衆「押ゥ忍ッ」
警部「チョ…ッ、アンタら…」
警部を押しのけて若ェ衆が藤巻をガード。連れて行く。
ガシィッ、と藤巻と肩を組む象山。耳元でささやく。
象山「焦んじゃねェぜ……近く、イヤでも姫川とヤってもらうからよ」
藤巻「…何?」
象山「グレート巽と約束した 大 喧 嘩(フィストオアツイスト)……
巽のヤロウがオメェを欲しがってる。
乗るなら……姫川とカード組んでやる」
藤巻「“拳か間接か(フィストオアツイスト)…”」
象山「そうさ。必ずオメェらは出会うだろう。同じ鼓動の音を目印にして…
鏡なんだ。オメェら互いに。それぞれの宿命(カルマ)を映すためのな。
約束は果たされる…ッてモンだぜ(はぁと」
藤巻「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
象山「このまま逃がす。巽にゃハナシつけてあるから、後はヤツに任せな」
ドアを開け藤巻を放り込む。
そこはバーベルとか鉄アレイが転がってる部屋。
藤巻(……FAW控え室…?)
??「よォ」
何者かが現れる。ビクッと振り返る藤巻。
??「俺に逢いに来たのかい」
ごついシルエット―――長田弘登場!!
藤巻「長田……ッ」
長田「聞いてるぜ。なんだかんだで…また逢えて嬉しいぜ」「藤くん」
藤巻「…藤くんって言うな……………照れる」
カァ…と赤面してつぶやく藤クンで締め。
煽り:逢いに来た藤巻! 帰る場所があると知る!!
軍鶏:吉岡が勝つが「殺人技を使った」とか言って勝ち名乗りを拒否。ノーコンテスト。
望月喜び、ジジイがツッコむいつもの漫才で締め。